研究課題/領域番号 |
12135204
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
石川 順三 京都大学, 工学研究科, 教授 (80026278)
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研究分担者 |
辻 博司 京都大学, 工学研究科, 助手 (20127103)
後藤 康仁 京都大学, 工学研究科, 助教授 (00225666)
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キーワード | 遷移金属 / 窒化物 / 炭化物 / マグネトロンスパッタリング / イオンビーム援用蒸着 / 電子放出特性 / 配向制御 / 核共鳴散乱法 |
研究概要 |
窒化物ないしは炭化物をターゲットとした高周波マグネトロンスパッタ法を用いて、HfN、VN、ZrC、HfC、VC、NbC、CrC、WCの薄膜を形成し、Ar圧力、高周波電力、基板温度などの成膜パラメータを変化させた際に膜物性、特に組成と結晶配向性がどのように変わるかを調べた。組成の分析には、工学研究科附属量子理工学研究実験センターの「イオンビーム分析実験装置」を利用した。窒化物の窒素の組成分析は通常のα線を用いて行い、炭化物の炭素組成分析、及び窒化物薄膜や炭化物薄膜の膜中の微量酸素の分析をプロトンを用いた後方散乱及び核共鳴散乱分析を用いて行った。結晶性の評価はX線回折により行った。その結果、HfNでは、Ar圧力が2Pa以下では、他のパラメータを変化させても膜中の窒素組成は殆ど変化がなく、化学量論的組成を保っていた。基板温度を変化させることで、結晶の面方位が大きく変化し、低温では(111)配向であったものが、高温では(100)配向になることがX線回折により明らかとなった。炭化物では、成膜圧力が高くなるにつれて、また高周波電力が高くなるにつれて、炭素組成が低下する傾向が見られた。また、イオン入射角を制御したイオンビーム援用蒸着により作製したTaC薄膜についても、イオン照射角の変化とともに、X線回折図形に変化が見られた。以上の試料の一部を筑波大学物理工学系の山本研に供給し、仕事関数の面分布などの測定を依頼した。上記の薄膜材料からの電界電子放出特性を超高真空中で測定した。その結果、炭化物の電子放出特性はどの材料も比較的似た特性を有していた。すなわち、Fowler-Nordheimプロットの傾きが近い値を有していた。一方で窒化物については、傾きは大きくばらついた。このことは、作製条件を最適化すれば、窒化物の方が安定なエミッタを形成できる可能性があることを示唆している。
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