研究課題/領域番号 |
12136101
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
小室 一成 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (30260483)
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研究分担者 |
斉藤 能彦 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (30250260)
松原 弘明 関西医科大学, 医学部, 助教授 (10239072)
瀧原 圭子 大阪大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (70252640)
福田 恵一 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20199227)
室原 豊明 久留米大学, 医学部, 講師 (90299503)
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キーワード | アンジオテンシンII / gp130 / STAT / 骨髄細胞 / 心不全 |
研究概要 |
レニン-アンジオテンシン系は生体における重要な昇圧系として知られており、この系を抑制するアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬やアンジオテンシンII受容体拮抗薬は高血圧症だけでなく心不全の治療薬としても使用されている。しかしながらアンジオテンシンIIの受容体であるAT1、AT2の各々の作用については明らかになっていない点が多く残されている。そこでAT1、AT2の遺伝子改変マウスを作製した。AT1、AT2の心筋・血管特異的過剰発現マウスの解析により、AT1が心房では高度房室ブロック、心室では致死性不整脈を誘発し著明な心筋細胞肥大を引き起こすこと、AT2が心筋では陰性変時作用、血管ではブラジキニンやNO/cGMP系を介した降圧作用や冠血管周囲の線維化抑制作用を有することが明らかになった。IL-6ファミリーのサイトカインは細胞の増殖や分化に関与するだけでなくアポトーシスを抑制する作用ももつ。これまでin vitroの研究で培養心筋細胞に対し、IL-6ファミリーサイトカインはgp130を介してJAK/STAT系を活性化することにより心保護作用を示すことが報告されてきたが、実際にin vivoでも同様の作用を有するか否かは不明であった。そこでSTAT3の持続活性型あるいは優性変異型を心筋特異的に過剰発現するマウスを作製し機能を解析した。持続活性型のSTAT3を過剰発現するマウスを解析したところ、心臓でのVEGFの発現は増強しており血管密度も増加していた。逆に優性変異型のSTAT3を過剰発現するマウスではVEGFの発現は減少していた。これらの結果から、gp130-STAT3を介したシグナルの活性化は心筋内の血管形成を促進することにより、心不全の発症を予防できる可能性が示唆された。骨髄細胞の中には血管内皮細胞や平滑筋細胞などの血管を形成するための基本的な細胞が含まれていることがこれまでの研究で明らかになっている。ブタの心筋虚血モデルを作製して自己骨髄単核球を移植したところ、血流量、側副血行路、左室壁運動のいずれもが有意に改善した。
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