骨随細胞を用いた心不全の細胞移植治療

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12136205
• 研究機関: 慶應義塾大学
• 研究代表者: 福田 恵一 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20199227)
• 研究分担者: 八木 崇 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40317136) ; 板橋 裕史 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00317108) ; 藤田 淳 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10306706)
• キーワード: 心筋細胞 / 交感神経 / エンドセリン / 再生 / 星状神経節 / 神経成長因子 / チロシンヒドロキシラーゼ

研究概要

心臓における交感神経支配の形成機序の解明
【背景】移植心臓や梗塞後心筋等の交感神経が除神経された状態では十分な心機能が得られないだけでなく、不整脈の基質となる。再生心筋を移植する際にも交感神経の再支配は重要な問題であるが、交感神経支配形成の分子機構自体全く知られていない。本研究では心臓に対する交感神経支配形成のための分子機構の解明を試みた。
【方法および結果】ラット培養心筋細胞が発現する神経成長因子をスクリーニングし、この神経成長因子発現を増強させる液性因子を同定した。その結果、心筋細胞においてはエンドセリン-1(ET-1)が特異的にNGFの発現増強をもたらすことを見いだした。このシグナルはET-A受容体、Gi□□-PKC-EGFR-src-ERK-p38MAPKを介する経路で伝達された。PC12細胞を用いたbioassayではET-1刺激心筋の培養上清および共培養の系で神経分化の促進が観察され、この現象は抗NGFブロッキング抗体で完全に抑制された。ET-1-KOマウスでは心臓表面の交感神経のGAP43・TH免疫染色および心筋中のNE含量が著しく低下し、星状神経節の萎縮、アポトーシスが観察された。MHC-NGF-Tgマウスとの交配により、ET-1-KOマウスのこれらの表現型はレスキューされた。
【結論】心臓における交感神経支配の形成にはET-1-NGFが必要不可欠の経路であることが明らかとなった。

研究成果

• [文献書誌] Keiichi Fukuda: "Stem cell transplantation as a mode of regenerative medicine"Jpn Med Assocation J.. 46(8). 333-338 (2003)
• [文献書誌] Keiichi Fukuda: "Use of adult mesenchymal stem cells for regeneration of cardiomyocyte and its application to cell transplantation therapy"Bone Marrow Transplant. 32. S25-S27 (2003)
• [文献書誌] Keiichi Fukuda: "Regeneration of cardiomyocytes from bone marrow : Use of mesenchymal stem cell for cardiovascular tissue engineering"Cytotechnology. 41. 165-175 (2003)
• [文献書誌] Keiichi Fukuda: "Regenerative medicine for cardiomyocyte"Jap Med Ass J.. 46. 333-338 (2003)
• [文献書誌] Keiichi Fukuda: "Application of mesenchymal stem cells for the regeneration of cardiomyocyte and its use for cell transplantation therapy"Human Cell. 13. 83-94 (2003)
• [文献書誌] Ariizumi T, Fukuda K, et al.: "Amphibian in vitro heart induction : a simple and reliable model for the study of vertebrate cardiac development"Int J Dev Biol. 47. 405-410 (2003)
• [文献書誌] Keiichi Fukuda: "Stem Cell Therapy for Autoimmune Disease"Richard K.Burt and Alberto Marmont. (2004)