脂溶性ホルモンによる骨代謝制御の分子メカニズムの解明

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12137202
• 研究機関: 筑波大学
• 研究代表者: 柳澤 純 筑波大学, 応用生物化学系, 教授 (50301114)
• 研究分担者: 加藤 茂明 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (60204468)
• キーワード: 核内レセブター / 骨 / VDR

研究概要

平成14年度はエストロゲンレセプター(ERα)にリガンド依存的に結合する転写活性化因子複合体TRRAP/GCN5複合体の機能解析を行い、その複合体が骨においても機能することを明らかにした(Molecular Cell,2002)。この複合体の精製において確立した手法を用いてビタミンD受容体の新規転写修飾因子同定を試みた結果、WSTFという因子を新たに同定した。さらにこの複合体の恒常発現株を用いてこの因子を含む複合体を単離精製した結果ATP依存性にクロマチン構造を変換する新規の複合体の存在を明らかにした。この複合体は転写とDNAの複製に関与する複数の機能を有する複合体であり、ビタミンD受容体の転写活性を修飾していることが明らかになった。ざらにWSTFが欠損しているWilliams syndromeの患者においてはビタミンD受容体の転写に障害を生じ、その結果カルシウム代謝に異常をきたすことが明らかになった。
そこで平成15年度は作成中のWSTFノックアウトマウスなどを用いて転写の場としての骨におけるこの複合体の機能を探求していく。
さらに近年骨組織にて重要な役割を果たしていると言われているアンドロゲン受容体の機能についても当研究室にて作成したノックアウトマウスやハエのトランスジェニック技術を用いて合わせて解明していく。

研究成果

• [文献書誌] Suzawa, M., Takada, I., Yanagisawa, J., 他: "Suppresive cytokines actions in adipogenesis and PPARγ function through the TAK1/TAB1-NIK cascade"Nature Cell Biology. (印刷中).
• [文献書誌] Hardy S., Brand M, Mittler G, Yanagisawa J.他: "TATA-binding protein-free TAF-complex (TFTC) and p300 are both required for efficient transcriptional activation"Journal of Biological Chemistry. 277(36). 32875-32882 (2002)
• [文献書誌] Yanagisawa, J., Kitagawa, H., Yanagida, M.他: "Nuclear receptor function requires a TFTC-Type histone Acetyl transferase complex"Molecular Cell. 9(3). 553-562 (2002)
• [文献書誌] Kitagawa, H., Yanagisawa J., Fuse H.他: "Ligand-selective potentiation of rat mineralocorticoid receptor activation function (AF-1) by a CBP-containing complex"Molecular and Cellular Biochemistry. 22(11). 3698-3706 (2002)