骨形成因子(BMP)のシグナル伝達のメカニズムについて、ユビキチン・プロテアソーム系によるレセプターと細胞内シグナル伝達分子Smadの分解に焦点を絞って検討した。 今年度は、昨年までに明らかにしたSmurfが抑制型Smadを介してTGF-β/BMPシグナルを制御していることについてさらに研究を進めた。まず、Smurf1と抑制型Smadの協調作用をin vivoで証明するために、Smurf1とSmad6を軟骨特異的に発現するトランスジェニックマウスを作製し、両者を掛け合わせてそのフェノタイプを解析した。その結果、Smad6トランスジェニックマウスは短肢症を呈したが、Smurf1トランスジェニックマウスは外見上正常だった。ところが両者を掛け合わせると、Smad6単独トランスジェニックマウスよりも強いフェノタイプを示した。以上のことは加in vivoで両者が協調的に作用することを示唆する。 次に、Smad7に結合してその作用を調節する新たな分子を探索する目的で、Smad7をベイトに酵母Two-hybrid法を施行した。その結果、Smurf様E3ユビキチンリガーゼNEDD4-2とWWP1がSmad7と結合することを見いだした。さらに実験を進め、両者がSmurf1同様にSmad7を介して、レセプターの分解に関与していることを明らかにした。また、発現解析からこれらのE3ユビキチンリガーゼは発現組織や細胞が異なることを明らかにした。
|