研究概要 |
昨年度までの研究で〓サブユニットプロモーターの-73から-307に硫黄欠乏応答に必要な領域(〓SR)があることが明らかになった.NOB株(35S::βSRx3:GFP)は,〓SR領域をCaMV 35Sプロモーターの-90の位置に3つタンデムにつないだ融合プロモーターをGFPとつないでシロイヌナズナに遺伝子導入した株である.NOB株は硫黄欠乏条件で種子と本葉を含めた地上部全体での蛍光が強くなり,種子貯蔵タンパク質遺伝子の栄養条件応答を本葉で再現することができる. NOB株を親株として硫黄欠乏応答に関わる変異株の検索を行い,通常の硫黄条件で野生型株に比べて強い蛍光の観察される植物と,硫黄欠乏条件での蛍光が弱いもの合計25株についてのマッピングを進めた.これらのラインについては,1株を除いてノーザン解析によりGFP mRNAの蓄積量が蛍光強度と相関が認められ,実際に何らかの変異を持つと考えられる.残り24株の変異株候補のうち,7株についてはF2で3:1の分離が観察され,1遺伝子の変異によると考えられた. #21-12(通常条件で蛍光が強い株)については864株のF2解析で5番染色体のマーカーT20L15の近傍約30kbの範囲に原因遺伝子が存在していることを明らかにした.この領域にはまだ使えるマーカーがあるので,組換え率からすると現在のF2ラインで約15kbにまで狭めることができると期待されるので,その後にこの領域の塩基配列の解析を行う.#1-3(通常条件で蛍光が強い株)については709株のF2解析で3番染色体の約180kbの領域にマップされた.#4-1(通常条件で蛍光が強い株)については,5番染色体の下腕に変異があることを明らかにした.
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