研究課題/領域番号 |
12138203
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研究種目 |
特定領域研究(B)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中村 研三 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (80164292)
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研究分担者 |
松岡 健 理化学研究所, 植物科学研究センター, チームリーダー (40222294)
森上 敦 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (10211608)
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キーワード | 貯蔵タンパク質 / 植物遺伝子 / 遺伝子発現制御 / 糖シグナル応答 / アブシジン酸 / シロイヌナズナ / 突然変異株 / 液胞 |
研究概要 |
細胞が栄養貯蔵機能を発揮する統御系を理解するために、本研究では貯蔵タンパク質遺伝子を始めとする一群の糖応答性遺伝子の発現が協調的に制御される機構、および糖シグナル応答の他のシグナル応答系との関係を明らかにし、また液胞貯蔵タンパク質の活発な合成と液胞への選別輸送装置の発達との関係を明らかにする。 サツマイモのスポラミンとβ-アミラーゼの遺伝子の発現は、糖に加えてABAによっても誘導され、スポラミン遺伝子の糖誘導性最小プロモーターとLUCとの融合遺伝子についても、形質転換シロイヌナズナにおいて糖の他にABAによる発現誘導も受け、さらにこの最小プロモーター中のTGGACGGエレメントの破壊によって糖誘導のみならずABA誘導も失われることを明らかにした。この糖誘導性最小プロモーターとLUCとの融合遺伝子の糖に応答した発現を指標にして、多数のEMS変異株から糖処理後のLUC活性が野生型株に比べて顕著に高いもの(hsi型)29ライン、逆にその低いもの(lsi型)28ラインを得た。これら変異株の多くが、LUC活性の糖に対する応答と同時にABAへの応答にも異常を示した。また、野生型植物の内生ABA量は糖の供与によって顕著に増加することが明らかになり、融合遺伝子の糖による発現誘導にはABAが中間シグナルの一つとして働いていることが示唆された。しかし、LUC活性の増加は糖を与えた場合の方がABAを与えた場合よりも早く見られ、糖とABAの両方を与えると発現レベルはそれぞれ単独の場合に比べ加算的になる。更に、融合遺伝子の糖に対する応答と異なりABAに対する応答性に異常を示さない変異株も同定され、融合遺伝子の糖による発現誘導にはABAを介さない経路も作用していることが示唆された。
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