研究課題/領域番号 |
12138206
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
佐藤 光 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (70128031)
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研究分担者 |
熊丸 敏博 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (00284555)
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キーワード | イネ / 種子貯蔵タンパク質 / グルテリン / プロラミン / 細胞内輸送 / 突然変異 / 成分育種 / 化学変異原 |
研究概要 |
1)輸送・集積に関わる遺伝子の同定と解析 分子シャペロンを含む細胞内輸送に関与する遺伝子について、イネ登熟種子中のmRNAの発現を解析した。野生型ではSecやRab等、調査した24の遺伝子全てにmRNAの発現が認められ、イネ種子においてもこれら遺伝子に制御される輸送経路の存在が強く示唆された。一方、これまでに同定したイネグルテリン前駆体の細胞内輸送に関わる57H変異9遺伝子標識系統では、esp2変異でPDIの発現が認められなかった以外、何れも全ての遺伝子についてmRNAの発現が認められた。 2)57H遺伝子の作用部位の推定 ・翻訳産物の小胞体内での分別阻害変異 glup4及びglup6変異では、グルテリン前駆体はプロラミンと共に同一の小胞体由来のPB内に集積するが、両者間にSS結合は認められなかった。このことから、両タンパク質は互いに近接した部位で翻訳されること、PDI以外に両者の小胞体内分別に関与する2種以上の遺伝子が存在することが明らかとなった。Glup4遺伝子を染色体12の1.8cMの領域内に、Glup6遺伝子を染色体3の4.5cMの領域内にマップできた。 ・小胞体から蓄積器官への輸送阻害変異 Glup5変異体では、電子密度が高くグルテリン抗体で標識される不定形の顆粒が小胞体膜内に観察された。glup7変異体では、一連の小胞体膜内に連なって存在する電子染色性の異なる顆粒が観察され、電子密度が高い顆粒はグルテリン抗体に、電子密度が低い顆粒はプロラミン抗体によって標識された。両変異は、上述の分別阻害変異群に対し遺伝学的に下位であった。これらのことから、Glup5及びglup7変異は小胞体からのグルテリン前駆体の輸出に関する変異と考えられる。
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