研究課題
ラットマスト細胞株RBL-2H3細胞を用いて、(1)抗原刺激によるマスト細胞の活性化におけるJAK3の関与について、(2)Interleukin-13の産生機構について、および(3)ステロイド性抗炎症薬のサイトカイン産生抑制機構について解析した。その結果、(1)JAK3はアダプター蛋白質Gab2をリン酸化することによりPI3-kinaseの活性化を制御していること、(2)抗原刺激によるinterleukin-13の産生にはc-Jun N-terminal kinaseによる転写因子AP-1の活性化が大きく関与していること、(3)ステロイド性抗炎症薬は、抗原と同時添加することによりinterleukin-13の産生を抑制すること、さらにその作用機構は、ステロイド性抗炎症薬により核内に移行したグルココルチコイド受容体がc-Jun N-terminal kinaseによるc-Junのリン酸化を直接抑制することを明らかにした。また、ステロイド性抗炎症薬はp44/42 MAP kinaseの活性化も抑制するが、その機序は、従来提唱されているMAP kinase phosphatase-1の誘導では説明できないこと、また、MAPKKKであるRaf-1のリン酸化抑制にあることを明らかにした。また、マウスの綿糸誘導増殖型炎症モデルにおける血管新生に対するヒスタミンの役割を解析した。その結果、ヒスタミンはH_2受容体を介してVEGFの産生を誘導し、血管新生・血管成熟に関与していることを明らかにした。また、マスト細胞欠損マウスとその対照マウスでは綿糸による血管新生に大差なく、ヒスタミンはマスト細胞以外の細胞に由来することが示唆された。
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