研究課題/領域番号 |
12139202
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
平澤 典保 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (80181155)
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研究分担者 |
大内 和雄 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (20006357)
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キーワード | RBL-2H3細胞 / JAK3 / 脱顆粒反応 / MAP kinase / Gab2 / Phosphatydilinositol 3-kinase / 骨髄由来マスト細胞 / WHI-P131 |
研究概要 |
マスト細胞の活性化に対するJAK3の関与について、ラットマスト細胞株RBL-2H3細胞を用いて解析した。JAK3阻害薬WHI-P154が抗原刺激によるGab2のリン酸化を抑制してphosphati-dylinositol 3-kinase(PI3-kinase)の活性化を抑制することを明らかにしたが、さらに、JAK3に、より特異的な阻害薬WHI-P131を用いて同様の実験を行った。その結果、WHI-P131もGab2のリン酸化とPI3-kinaseの活性化を抑制すること、脱顆粒反応及び各種MAP kinase(P44/42 MAP kinase、p38 MAP kinase及びc-Jun N-terminal kinase)のリン酸化を抑制することが明らかになった。さらにマスト細胞の活性化におけるJAK3の関与を明確にするために、JAK3欠損マウスから骨髄由来マスト細胞(BMMC)を調製した。JAK3欠損マウスから調製したBMMCに、おけるLyn、Syk及びFynの発現量はwild-typeマウスから調製したBMMCと差は認められなかった。このJAK3を発現していないBMMCとJAK3を発現しているBMMCにおいて、抗原刺激により誘発される脱顆粒反応、MAP kinaseの活性化について比較したところ、いずれの反応もJAK3欠損マウスから調製したBMCにおいて減弱することはなかった。また、WHI-P131はJAK3欠損マウス由来のBMMCにおける抗原刺激による脱顆粒反応及びp44/42MAP kinaseのリン酸化をwild-type BMMCの反応と同様に抑制した。したがって、JAK3は抗原刺激によるマスト細胞の活性化にはほとんど関与していないこと、WHI-P131及びWHI-P154はJAK3以外の作用点を持つことが示唆された。これらの薬物の標的分子を同定することは新しい抗アレルギー薬開発のための標的分子の同定に寄与すると考えられる。
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