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2000 年度 実績報告書

マスト細胞の分化とアラキドン酸代謝酵素群の発現調節

研究課題

研究課題/領域番号 12139206
研究種目

特定領域研究(B)

研究機関昭和大学

研究代表者

村上 誠  昭和大学, 薬学部, 助教授 (60276607)

研究分担者 工藤 一郎  昭和大学, 薬学部, 教授 (30134612)
キーワード肥満細胞 / サイトカイン / 脱顆粒反応 / プロテアーゼ / アトピー性皮膚炎 / 繊維芽細胞 / Ndr-1 / AVRL-2
研究概要

肥満細胞の機能的成熟過程を明らかにするため、IL-3依存的に増殖するマウス骨髄由来未成熟肥満細胞(BMMC)を肥満細胞増殖因子であるSCF存在下、繊維芽細胞と数日間接触培養する系を確立した。この共培養によって、BMMCは形態的にCTMC様の細胞染色像を示すと同時に、CTMCの機能的指標であるG蛋白共役型塩基性アゴニスト(非IgE型刺激)に対する応答性を獲得した。この分化誘導過程は繊維芽細胞と肥満細胞の直接の接触により強く増強され、既知のサイトカインあるいは細胞接着因子以外の比較的不安定な繊維芽細胞由来因子が関与していることが明らかとなった。
このin vitroでの肥満細胞の成熟過程で発現が変化する遺伝子群を一括同定するため、cDNA subtraction法を実施した。現在までに約100個の既知または新規誘導型遺伝子を同定するに至っている。誘導型遺伝子群の約半数はマウス第14染色体上にコードされたセリンプロテアーゼ群で、中でもMMCP-4とGranzyme Bの誘導が際立っていた。これらプロテアーゼに次いで比較的高頻度で同定された遺伝子はNdr-1という名称でESTに登録されていた機能不明の細胞質蛋白であった。Ndr-1はBMMCと繊維芽細胞の共培養開始直後から強く誘導された。Ndr-1を強制発現した肥満細胞は脱顆粒反応が有意に亢進したことから、分泌応答の制御因子として機能しているか、または肥満細胞を脱顆粒しやすい表現型に分化させる因子として機能している可能性を予想している。また、AVR(Angiotensin Vasopression Receptor)と弱い相同性を示す新規遺伝子、AVRL-2の全長配列を決定した。本因子は全長約100kDaの蛋白であり、C末端のalternative splicingにより少なくとも4種のアイソフォームが同定された。個々のアイソフォームは、肥満細胞と繊維芽細胞の共培養過程で異なる発現誘導パターンを示した。現在、AVRL-2のそれぞれのアイソフォームを肥満細胞に過剰発現させ、その機能を検討している。
更に、本系で同定された新規遺伝子群について、アトピー性皮膚炎モデルマウスにおける発現誘導を検討した。Ndr-1をはじめとするいくつかのクローンは病態の進行に関わらず一定レベルの発現が検出されたが、AVRL-2アイソフォームと新規遺伝子I-33については発現の変動が認められた。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] T.Tanioka: "Molecular identification of cytosolic prostaglandin E_2 synthase that is functionally coupled with cyclooxygenase-1 in immediate prostaglandin E_2 biosynthesis"J.Biol.Chem.. 275. 32775-32782 (2000)

  • [文献書誌] M.Murakami: "Regulation of prostaglandin E_2 biosynthesis by inducible membrane-associated prostaglandin E_2 synthase that acts in concert with cyclooxygenase-2"J.Biol.Chem.. 275. 32783-32792 (2000)

  • [文献書誌] N.Ueno: "Functional crosstalk between phospholipase D_2 and signaling phospholipase A_2/cyclooxygenase-2-mediated prostaglandin biosynthetic pathways."FEBS Lett.. 475. 242-246 (2000)

  • [文献書誌] G.Atsumi: "Distinct roles of two intracellular phospholipase A_2s in fatty acid release in the cell death pathway."J.Biol.Chem.. 275. 18248-18258 (2000)

  • [文献書誌] A.Enomoto: "Redundant and segregated functions of granule-associated heparin-binding group II subfamily of secretory phospholipases A_2 in the regulation of degranulation and prostaglandin D_2 synthesis in mast cells"J.Immunol.. 165. 4007-4014 (2000)

  • [文献書誌] H.Kuwata: "Studies out a mechanism by which cytosolic phospholipase A_2 regulates the expression and function of type IIA secretory phospholipase A_2"J.Immunol.. 165. 4024-4031 (2000)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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