研究課題
G1期のシグナルはCdk4-サイクリンの活性化を通じてE2F転写因子の活性化をもたらす。E2Fは、G1-S期移行に必須な因子のみならず、S期因子、チェックポイント因子、修復因子さらにG2-M期進行に必要な因子も誘導し、細胞を増殖サイクルへと導くとともに、複製進行や引き続く細胞分裂の過程の協調的連動に貢献する。E2Fにより発現誘導された、複製タンパク質は複製複合体の形成と活性化を促進する。ORC,Cdc6,Cdt1,MCMに依存して、鋳型上にpreRC(prereplicative complex;複製前複合体)が形成されるが、転写因子を介した核マトリックスと複製装置との密接な相互作用が複製装置の形成に重要な役割を果たしている可能性が示された。CdkとCdc7は、MCM2および4のN端領域を広範にリン酸化し、これにより複製複合体の成熟、ヘリカーゼの活性化をもたらしpreRCを活性化する。この過程でMCMヘリカーゼは特定の鋳型DNA構造により活性化される。複製フォークの進行時には、複数のクランプ・ローダーシステムが連動し、多様なDNA代謝酵素、DNA合成酵素が機能的に協調し複製から分配にいたる染色体動態の厳密な制御を可能にする。癌細胞や、全能性の幹細胞では、複製因子の多くあるいは特定のサブセットが過剰に発現しており、タンパク質機能ネットワークが異なる定常状態にあり、それぞれの細胞特有の細胞周期進行に関連している可能性がある。これらの過程に関与する因子の発現の脱制御は、ゲノムの不安定性を誘導すること、複製因子の発現抑制により、がん細胞特異的な細胞死が誘導されることも示され、複製因子が制癌の標的となる可能性が示唆された。
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