研究概要 |
1.昨年度単離・同定したトウモロコシのHis-Aspリン酸リレー系因子ZmHP1〜ZmHP3およびZmRR1〜ZmRR10について、因子間でのリン酸リレー活性およびZmRRのリン酸化残基の安定性について検討を行ったところ、type-A(タンパク質相互作用型)に属するZmRR1,ZmRR4はtype-B(転写因子型)に属するZmRR8,ZmRR9に比べリン酸基の半減期が1/10ほども短く、この性質の違いが両者の生理的機能の違いに深く関与している可能性を示唆した。 2.従来のサイトカイニン受容体はシス型のサイトカイニンに対する親和性は低いとされてきたが、トウモロコシのZmHK1はトランス型、シス型サイトカイニンに同程度の感受性を持つ受容体であることを明らかにした。 3.酵母two-hybrid assayによる解析の結果、ZmHP1は細胞質局在型のZmRR1および核局在型のZmRR10と有意に相互作用したことから、リン酸リレー情報は細胞質と核内へ分岐しつつ伝達されることを初めて明らかにした。 4.ZmRR1と相互作用する因子ZmHD1について、引き続きその特徴付けを行なった。その結果、ZmHD1はZmRR1のリン酸化模擬変異体であるZmRR1DEとより強く相互作用すること、プラスチドに局在すること、また、金属イオン依存型のホスファターゼと相同性を持つことを明らかにした。 5.シロイヌナズナの7種類のサイトカイニン合成酵素(AtIPT1,AtIPT3-AtIPT8)について、プロモーター::GFPの形質転換植物を作出し、発現組織・細胞を調べた。その結果、AtIPT3、AtIPT7は篩管伴細胞で、AtIPT1は中心柱で、AtIPT5は側根原基で強い発現が観られ、名遺伝子が生理的に機能分化していることを示唆した。
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