His・Aspリン酸リレーによる大腸菌O157病原性遺伝子群の発現調節機構

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12142206
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 牧野 耕三 大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (20181620)
• キーワード: 二成分制御系 / His・Aspリン酸リレー / リン酸レギュロン / O-157 / ゲノム / PhoU / PhoB / PhoR

研究概要

大腸菌におけるHis・Aspリン酸リレー情報伝達分子機構の解明を目的として、病原性大腸菌O-157特異的ゲノム解析を基にした二成分制御系による病原性遺伝子群解析と、リン酸レギュロンの二成分制御系による遺伝子発現ネットワーク解析により以下のことを明らかにした。
腸管出血性大腸菌O-157のゲノム長は5.6M塩基対でK12株と比べ、O-157特異的領域は約1.6Mである。この特異的領域に存在する二成分制御系をホモロジーに基づくコンピュータによる検索と解析をおこなった結果、K12株にはない二組のO-157特異的二成分制御系を発見して、これらの二成分制御系により発現が制御される遺伝子領域を詳細に明らかにした。さらに、二成分制御系のリン酸レギュロンにおけるモデュレーターPhoUのドミナントネガテブなphoU変異体を用いて、モデュレーターPhoUがおこなうリン酸レギュロンの負の調節機構に関して、PhoU側の機能部位を特定した。

研究成果

• [文献書誌] Shindoh, K.: "Crystallization and preliminary X-ray diffraction studies on the DNA-binding domain of the transcriptional activator protein PhoB from Escherichia coli"Acta Crystallogr.D.Biol.Crystallogr.. 58. 1862-1864 (2002)
• [文献書誌] Iida, T.: "Filamentous bacteriophages of vibrios are integrated into the dif-like site of the host chromosome"J.Bateriol.. 187. 4933-4935 (2002)
• [文献書誌] Makino, K.: "Genome sequence of Vibrio parahaemolyticus : a pathogenic mechanism distinct from that of V. cholerae"Lancet. 361. 743-749 (2003)