研究課題
本特定領域研究では、ヌクレオチド除去修復(NER)や損傷乗り越え複製(TLS)機構の制御にユビキチン化が重要な役割を担っていることを世界に先駆けて明らかにした。すなわち、田中亀代次班員は、転写と共役したNER機構に関与するコケイン症候群A群(CSA)蛋白質、及び、ゲノム全体のNER機構に関与する紫外線損傷DNA結合蛋白質(DDB2)をHeLa細胞から蛋白質複合体として精製し、CSAとDDB2がそれぞれDDB1、Cullin4A、Roc1と複合体を形成することを明らかにした。さらに、それぞれの複合体がユビキチンリガーゼ(E3)活性を持つことを明らかにした。また、菅澤薫班員は、DDB2複合体のE3活性によってXPC蛋白質がユビキチン化され、NER能が活性化されることを明らかにした。山泉克班員は、UV照射された細胞ではE3活性を持つhRad18/hRad6によりPCNAがモノユビキチン化されることを発見し、損傷乗り越えDNAポリメラーゼと複製DNAポリメラーゼのスイッチング機構にRad18が重要な役割を担っていることを明らかにした。塩見忠博班員は、エクソン15を欠損するXpg変異マウスとNER欠損のXpaヌル変異マウスの交配によって得られた二重変異マウスが相乗的に神経異常や身体発育異常を発症することを発見し、コケイン症候群徴候の発症にはNER活性の消失とXpgのC末183アミノ酸の欠損が必要であることを示唆した。さらに、山泉、益谷央豪班員は、それぞれ世界に先駆けてRad18、XPV欠損マウスの作出に成功し、TLS機構の細胞・個体レベルでの解析を可能ならしめた。他方、in situでの修復プロセスの解明の重要性が示唆され、本特定領域でも重点的に取り組んできたが、安井明班員は塩基除去修復(BER)における細胞レベルでの機能的プロテオームの解析を進行させ、当該研究に先鞭をつけた,池島三与子班員は、LacZ・alpha遺伝子をもつM13mp2ファージ(RF)を標的遺伝子として、ミスマッチを持つオリゴヌクレオチドに依存した無細胞でのgene repairアッセイ系を樹立した。
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