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2001 年度 実績報告書

ゲノム防禦機構とがん抑制蛋白p53

研究課題

研究課題/領域番号 12143205
研究機関熊本大学

研究代表者

山泉 克  熊本大学, 発生医学研究センター, 教授 (70107093)

キーワード複製後修復 / Rad18 / ゲノム不安定化 / p53 / MAPキナーゼ
研究概要

高等真核細胞における複製後修復機構を解明するため、マウスES細胞でのRAD18ノックアウト細胞を樹立した。このES細胞ではRAD18由来のmRNA及びタン白は全く検出されなかったが、増殖速度は正常ES細胞と同一であった。このことからRad18タン白は細胞の生存には必須ではないことが示された。また紫外線(UV)照射後の新生鎖DNA長を測定すると、正常細胞と比較して短いことから複製後修復に異常が起こることが明らかとなった。UVやアルキル化剤によるDNA損傷後に誘導される突然変異頻度は正常細胞よりむしろ低下する傾向がみられた。しかし、姉妹染色分体交換(SCE)の出現頻度は正常培養条件下及びDNA損傷後共に正常より2〜3倍高く、また外来性DNAのゲノムへの組換え頻度及び相同組換えの頻度はそれぞれ正常細胞の20倍及び2倍と明らかに高くなることが初めて示された。これらのことから、Rad18は複製後修復を通してゲノムの異常組換えを抑制していることが明らかとなった。一方がん抑制タン白p53の安定化・活性化機構を解明するため、高浸透圧培養条件下でのp53の挙動を解析した。この結果p53の安定化には少なくともMdm2のダウンレギュレーションによるMdm2の抑制が関与していることを明らかにした。またp53の活性化にはMAPキナーゼカスケードを構成するMKK6→p38の活性化が重要で、それを通してp53N端側のセリン33がリン酸化され、それに引き続きp300が結合してC端側のリジン382がアセチル化される機構が働いていることを明らかにした。興味あることに高浸透圧条件下でのp53の活性化の際には従来言われてきたセリン15、20、46のリン酸化は観察されなかった。このp53の活性化経路は更にUV等のDNA損傷の際にも働くことを示唆する結果も現在得られつつある。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Kishi, H.: "Osmotic shock induces G_1 arrest through p53 phosphorylation at Ser^<33> by activated p38^<MAPK> without phosphorylation at Ser^<15> and Ser^<20>"Journal of Biological Chemistry. 276(42). 39115-39122 (2001)

  • [文献書誌] Nitta, M.: "Characterization and tumorigenicity of human ovarian surface epithelial cells immortalized by SV4O large T antigen"Gynecologic Oncology. 81(1). 10-17 (2001)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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