哺乳類のゲノム全体で働くヌクレオチド除去修復(NER)機構において損傷認識因子として機能するC群色素性乾皮症(XPC)タンパク質の安定性が、出芽酵母RAD23のホモログであるHR23タンパク質(HR23A、およびHR23B)との複合体形成によって調節されていることを明らかにした。細胞内においてXPCタンパク質の大部分はHR23Bと複合体を形成し、残りの一部がHR23Aと結合していることがわかっているが、この違いがHR23A、HR23Bの細胞内における存在量の違いを反映したものであることをノックアウトマウス由来の細胞を用いて示した。HR23の二重欠損細胞においてHR23Aを過剰発現すると、XPCタンパク質の発現レベル、およびNER活性ともに野生型細胞と同程度まで回復することから、二種類のRAD23ホモログは少なくともNERに関する限り機能的に同等であることが裏付けられた。 一方、細胞の紫外線照射に伴うXPCタンパク質の翻訳後修飾が、ユビキチン活性化酵素(E1)の温度感受性変異株であるマウスFM3Ats85細胞を非許容温度で培養したときに観察されないことを見いだした。FLAGタグを融合したXPCタンパク質を安定に発現する細胞株を用いて、HAタグを融合したユビキチンを一過性に過剰発現させることにより、XPCタンパク質が紫外線照射に伴ってユビキチン化されることを示した。さらに、このXPCタンパク質のユビキチン化が、DDB(damaged DNA binding factor)活性を欠損したXP-E群患者由来の細胞、およびチャイニーズ・ハムスター由来の培養細胞では観察されないことがわかった。チャイニーズ・ハムスター由来V79細胞でヒトDDB2遺伝子を安定に発現させると、XPCタンパク質の翻訳後修飾が見られたことから、この修飾がDDB依存的であることが明らかになった。
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