研究課題/領域番号 |
12144201
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
杉山 雄一 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (80090471)
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研究分担者 |
鈴木 洋史 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80206523)
金井 好克 杏林大学, 医学部, 教授 (60204533)
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キーワード | 経細胞輸送 / ベクトル輸送 / ABCトランスポーター / アミノ酸トランスポーター / 上皮細胞 / 胆汁排泄 |
研究概要 |
上皮細胞における薬物のベクトル輸送について、特に有機アニオン系化合物の胆汁排泄に焦点を当てた検討を進めた。極性細胞(MDCK細胞)にラット肝取り込みに関与するOatp 1b2、胆汁排泄に関与するMrp2を共発現させた。ラットin vivoで胆汁排泄を測定し、共遺伝子発現における経細胞輸送と比較すると、両者の間に良好な相関関係を見出しており、本系がin vivoを予測する上で有用なモデルとなることを明らかにした。また、異物排泄ポンプであるBCRPについて、膜局在を制御するメカニズム解析を行った。その結果、糖鎖修飾は刷子縁膜への局在には重要でないこと、二量体化を抑制する変異体、N末(36アミノ酸)あるいはC末(2アミノ酸)を削除した変異体では、刷子縁膜への局在が抑制されたことから、この領域にあるアミノ酸が刷子縁膜局在に重要と考えられる。 アミノ酸トランスポーターBAT1は1回膜貫通型補助因子rBATとヘテロ二量体を形成し、腎近位尿細管管腔側膜トランスポーターとして機能するが、BAT1のC-末端細胞内領域の部位特異的変異導入解析により、そのC-末端のVVPP配列がヘテロ二量体複合体の膜移行に必須であることを明らかにした。VVPP配列を欠損させると、ヘテロ二量体複合体が小胞体に留まることから、この配列はヘテロ二量体複合体の小胞体からゴルジ体への移行に必須であることが明らかになった。yeast two-hybrid法により、VVPP配列に結合し、ヘテロ二量体複合体の小胞体からゴルジ体への移行を推進するタンパク質として、RACK1を同定した。さらに、尿酸トランスポーターURAT1のC-末端PDZモチーフに結合するタンパク質として、PDZK1を同定した。PDZK1はURAT1を含む一群の管腔側膜トランスポーターと結合することから、PDZK1により細胞膜上でPDZモチーフを有するトランスポーターが集積して存在することが示唆された。
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