細胞接着分子とベクトル輸送分子を結びつける分子機構を解析し、新規裏打ち蛋白PAPIN・ankycorbin・caromを見出した。裏打ち蛋白の細胞内局在決定機構を解析し、タイトジャンクションの裏打ち蛋白MAGI-1がβcateninとの相互作用領域を介して基底側面に局在決定されること、ERBIN・PAPINはβcateninの類似蛋白p0071と相互作用するがその相互作用は局在決定に関与しないこと、Lin-7がβcateninではなくnectin・afadinとの相互作用により局在が決定されることを、明らかにした。MAGI-1に結合する新規のイムノグロブリンスーパーファミリー蛋白JAM4を見出し、JAM4がMAGI-1と協働して細胞間透過性を制御すること、JAM4が発現するとRacが活性化しhepatocyte growth factorによるシグナルが増強することを明らかにした。神経シナプスにおいてMAGI-1のアイソフォームであるS-SCAMが、はじめβcateninを介してcadherinによる接着部位にリクルートされ、その後、別の接着分子neuroliginを集積しアクチン骨格のリモデリングを引き起こすことを明らかにしたが、上皮細胞においては接着分子nectinがafadinを介してcadherinによる接着を誘導し、さらにその後タイトジャンクションの構成要素であるJAM1を集積することを示した。いずれの例も裏打ち蛋白を介して、異なる接着構造が順次誘導されることを示している。MAGI-1がJAM4と異なるPDZ領域を介して別の接着分子nephrinに結合しクラスターを形成することも明らかにしている。接着分子の下流でアクチン細胞骨格が制御されることが明らかになっているが、アクチン以外の細胞骨格に着目しても研究を進め、微小管系に結合する新規の分子を4つ見出している。
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