研究概要 |
CLC-5クロライドチャネルは低分子タンパク尿症の原因遺伝子であるが、その病態とクロライドチャネルとしての機能の関連性は不明である。一方、CLC-3,4はCLC-5とは相同性の高いクロライドチャネルであり、未だその生理的役割は不明である。CLC-3は我々が1995年に単離したクロライドチャネルであり神経系に多く発現していたが、細胞容積感受性クロライドチャネルであるとの報告もあるものの、その生理的機能は不明であった。今年度、我々はCLC-3クロライドチャネルノックアウトマウスを作製し、その生理的機能の解明めざした。 方法はマウスgenomic libraryよりmouse CLC-3遺伝子を単離し、エクソン5,6をネオマイシン遺伝子で欠失できるように相同組み替えベクターを作製した。 定法によりES cellにトランスフェクションし、相同組み替えを起こした細胞を選択し、blastcystにinjectionし、2種のES cell lineから4種のgerm line transmissionしたラインを得た。 CLC-3ノックアウトマウスは誕生後成長障害を呈し、死亡率も高かった。CLC-3は神経系に発現の多いクロライドチャネルであるため行動解析を行ったところ、多動を示していた。組織学的には腸管上皮の脱落、海馬、網膜の萎縮がみられた。現在のところ、CLC-3が細胞内膜系のクロライドチャネルとして膜内のH-ATP活性の維持に働いているとの仮説に基づき、これらフェノタイプを説明するCLC-3の役割について検討中である。
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