研究概要 |
1)CLC-Kクロライドチャネルのベータサブユニットであることが判明したバーチン蛋白が、いかにCLC-Kクロライドチャネルと相互作用し、CLC-Kクロライドチャネルを細胞膜に導くのか、またヒトでバーター症候群を引き起こすバーチンの変異が、バーチン自体にどのような影響を及ぼしているのかを、細胞培養系にて安定発現株を作成して検証した。 その結果、バーチンとCLC-Kは免疫沈降で共沈すること、その結合にCLC-KのNないしC末の細胞内ドメインは関与していないことが明らかになった。また、R8Lというバーター症候群を引き起こす変異体は野生型のバーチンが細胞膜に存在するのに対し、ERにとどまることが判明した。この細胞に、CLC-Kを発現させると、CLC-Kとの結合性はR8Lでも保たれているため、R8Lの存在部位に引きづられるようにCLC-KもERにとどまり細胞膜への移行が阻害された。このようにバーチン変異によるバータ症候群の分子メカニズムを解明することができた。 2)細胞内膜系のCLCクロライドチャネルであるCLC-3,4,5,6,7についてその細胞内局在に相違があるかを、培養細胞系にて検討し、CLC-3,4,5は主として初期エンドソームに、CLC-7は後期エンドソームとライソゾームに局在することが判明した。その他、タグつきCLC-3トランスジェニックマウス、CLC-4ノックアウトマウスを作成中。 3)AQP2水チャネルの変異による尿崩症のうち優性遺伝形式とる変異はC末のフレームシフト変異体である。この変異の影響を固体内で検証するため、AQP2プロモーター下に変異体AQP2を発現するトランスジェニックマウスを作成した。変異体蛋白を発現する細胞では野生型のAQP2蛋白のapical側への移行が障害されていた。動物もpartialな尿崩症を呈しており、モデルマウスが確立された。
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