研究課題/領域番号 |
12144204
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
内田 信一 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (50262184)
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研究分担者 |
佐々木 成 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (60170677)
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キーワード | AQP水チャネル / CLCクロライドチャネル / WNKキナーゼ / MDCK細胞 / ソーティング / ノックインマウス |
研究概要 |
優性遺伝形式腎性尿崩症起因性AQP2変異の発見とその病態生理の解析。AQP2水チャネルは常染色体にその遺伝子座があるため、通常は劣性遺伝形式をとる。しかしながら優性遺伝形式をとる家系を3家系、後にさらに2家系解析し、その変異を検索したところ、全てヘテロにC末の部分にフレームシフトを引きおこすdeletionをみとめ、その結果本来ない余分な共通の配列をC末に持つことが示された。その病態を探るためMDCK細胞において変異体を発現する安定株を作成し、その細胞内局在を調べると、本来野生型がapical側に局在するのに対し、basolateral側に変異体は局在した。さらに共発現させると、野生型も変異型に引きずられ、apicalからbasolateral側へ局在するようになり、このdominant negative効果が病態の本質であることが示唆された。その後、この余分な配列内にLLモチーフが存在し、これがbasolateralシグナルとなっていることも明らかにした。以上のメカニズムが生体内でもおきているかを探るため、AQP2プロモータ下に変異AQP2を発現させるトランスジェニックマウスを作成した。残念ながら発現レベルが低く、尿崩症を引きおこすには至らなかったが、細胞内では一部の集合管細胞で、MDCK細胞で見られたミスソーティングが確認された。さらに発現量を確保するために、ジーンタゲティングの手法にてノックインマウスの作成も終了した。明らかな尿濃縮障害、basolateral側への変異AQP2の染色など、本当の疾患モデルマウスが作成でき、現在解析中であるとともに、治療法開発を視野に入れて、siRNAをもちいた変異RNAを特異的に阻害する試みも行っている。 その他、AQP12ノックアウトマウスの作成、WNKキナーゼの上皮輸送に対する影響に関する検討、細胞内膜系CLCクロライドチャネルの細胞内分布の同定、を行った。
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