チャネル蛋白相互作用の分子構造基盤

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12144206
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 中村 春木 大阪大学, たんぱく質研究所, 教授 (80134485)
• 研究分担者: 中島 伸介 大阪大学, たんぱく質研究所, 助手 (60324852)
• キーワード: 分子動力学 / ホモロジーモデリング / 分子認識 / シミュレーション計算 / 超分子立体構造 / 分子表面 / ブラウニアン・ダイナミクス / データベース

研究概要

1)チャネル蛋白質の立体構造モデルの作成とそのモデルに基づく実験結果の解析
K^+チャネルの薬理特性の研究が行われているKir6.2,Kir6.1およびATP感受性K^+チャネルのスルホニル尿素受容体の立体構造モデルの構築を行い、それぞれに表れる伝導性や薬理特性の違いを、立体構造モデルによって説明した。
2)蛋白質の表面形状と物性データベース(eF-site)と表面構造の認識・分類
蛋白質の機能発現と立体構造との関連を、分子表面形状と物性から分類・整理するためチャネル蛋白質を含むデータベースを構築・公開し、分子表面の高速識別手法としてグラフ理論を基にしたクリーク探索手法を開発した。
3)NMRのSaturation Transterを利用したチャネル蛋白質とリガンドとの複合体立体構造モデリング手法の開発
イオンチャネルとその阻害剤のSaturation Transfer実験結果(東大薬・嶋田一夫教授との共同研究)を利用し、阻害剤側の結合部位に対する実験情報を満たすように複合体モデルを構築するドッキング・シミュレーション手法を開発した。
4)シミュレーション計算による分子認識機構の解析
構造サンプリングによる演繹的モデリング手法の開発を進め、ペプチドやループ構造のモデリングと自由エネルギー地形の解析を行った。

研究成果

• [文献書誌] Ono, Satoshi: "Calibration of force-field dependency in free energy landscapes of peptide caonformations by quantum chemical calculations"Journal of Computational Chemistry. vol.23, No.4. 470-476 (2002)
• [文献書誌] Fukuda, Ikuo: "Tsallis dynamics using the Nose-Hoover approach"Physical Review E. vol.65, No.3. 26105 (2002)
• [文献書誌] Matsushita, Kenji: "Intermolecular Interaction of SUR2 Subtypes for Intracellular ADP-induced Differential Control of K-ATP Channels"Circulation Research. vol.90, No.5. 554-561 (2002)
• [文献書誌] Kamiya, Narutoshi: "Conformational transition states of a β-hairpin peptide between the ordered and disordered conformations in explicit water"Protein Science. vol.11, No.10. 2297-2307 (2002)
• [文献書誌] Kim, Jae Gil: "Dynamical origin of uniform sampling in multicanonical ensemble"Physical Review E. vol.67 No.1. 11105 (2003)
• [文献書誌] Ikeda, Kazuyoshi: "β-hairpins, α-helics, and the intermediates among the secondary structures in the energy landscape of a peptide from a distal β-hairpin of SH3 domain"Journal of Computational Chemistry. vol.24 No.3. 310-318 (2003)