脊椎動物の体節の長さがどのようにして決定されるかについては、2つの異なる理論が提唱されている。そのどちらがより妥当かを調べるため、胚に人為的な変異を加えた状態で発生させ、その結果をシミュレーションによって解析した。 ニワトリ胚を物理的に伸張させて発生させた場合、伸びた体節ができるのでなく、正常な長さの体節が数多くできることが解った。体節の部位特異的に発現する遺伝子や、Hox遺伝子等の発現状態を解析した結果、位置情報が反応拡散でできると仮定したときのシミュレーションの結果と一致し、体節形成の位置情報が反応拡散の波でできていることを示唆した。また、ゼブラフィッシュの胚を用いて、低温化での体節形成時に分節遺伝子がどのようなパターンで発現するかを解析したその結果、通常の温度ではPSMの尾部で発現が振動しているher1等の分節遺伝子が、低温化では振動しなくなることが解った。 この結果はもう一つのモデルであるCWモデルとは決定的に相容れないが、RDモデルでは説明できるため、この結果も反応拡散による体節の分節位置の調節を示唆した。
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