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2004 年度 実績報告書

体節形成プログラムの進化-魚類を用いた発生遺伝学的解析-

研究課題

研究課題/領域番号 12145203
研究機関東京大学

研究代表者

川上 厚志  東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (00221896)

研究分担者 武田 洋幸  東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (80179647)
キーワード体節 / Notch / ゼブラフィッシュ / 生物時計 / ヘッジホッグシグナル / you / 細胞外マトリックス / Bmpシグナル
研究概要

小型魚類を用いて,体節形成と体節分化について解析を行って以下のような成果をあげた。
1.脊椎動物の体節形成の周期性は,分節前の間充織(PSM)で周期的に遺伝子発現の振動を起こす器官形成クロックによって生み出される。既に振動子の本体がhairy関連遺伝子(her)であることが明らかになっているが、振動を生み出す分子ネットワークや振動の同調をもたらすメカニズムは未解明のままであった。我々は振動の同調には、何らかの細胞間コミュニケーションが関与するはずと考え、その関与をzebrafish胚を用いたモザイク解析により検討した。特に、her欠損細胞(Deltaが恒常的に発現する細胞)を野生型胚に移植したところ,分節境界は移植片の周辺で常に前方にシフトし、時計遺伝子であるher1の振動のタイミングがコントロール側に比べ早くなることが判明した。この活性はDeltaを欠損することで消失するので、振動状態にある細胞はHERタンパクが減少すると周囲の細胞にDeltaを介したシグナルを送り、her遺伝子の発現のタイミングを補正していることが明らかになった。
2.体節における細胞のうち、遅筋や筋パイオニア細胞などは中軸中胚葉からのヘッジホッグ(Hh)シグナルによる誘導によって形成される。我々はHhシグナルが多数の異なる細胞を誘導する調節メカニズムを解析するためにゼブラフィッシュで単離されたHhシグナル変異体の解析を行った。ポジショナルクローニングによってyou変異体原因遺伝子を明らかにしたところ、you遺伝子は神経管の背側に局在する細胞外マトリックスタンパクScube2をコードしていることが明らかになった。さらに変異体の詳細な解析から、Scubeが欠損すると、背側の正中や表皮に由来するBmp分子が非常に遠くまでシグナル作用を及ぼしてHhシグナルの伝達を妨げることが明らかになった。従って、背側のBmpと腹側のHhはそれぞれのシグナルの拡散を制御することによって空間的な細胞パターンを形成することができると考えられる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2005 2004

すべて 雑誌論文 (5件)

  • [雑誌論文] The zebrafish secreted matrix protein You/Scube2 is implicated in long-range regulation of hedgehog signaling2005

    • 著者名/発表者名
      Kawakami, A.et al.
    • 雑誌名

      Current Biology 15

      ページ: 480-488

  • [雑誌論文] Zebrafish GADD45 beta genes are involved in somite segmentation2005

    • 著者名/発表者名
      Kawahara, A.et al.
    • 雑誌名

      Proc Natl Acad Sci USA 102

      ページ: 361-366

  • [雑誌論文] Inactivation of dispatched 1 by the chameleon mutation attenuates Hedgehog signaling in the zebrafish embryo2004

    • 著者名/発表者名
      Nakano, Y.et al.
    • 雑誌名

      Developmental Biology 269

      ページ: 381-392

  • [雑誌論文] The zebrafish iguana locus encodes Dzip1, a novel zinc finger protein required for proper regulation of hedgehog signaling2004

    • 著者名/発表者名
      Sekimizu, K.et al.
    • 雑誌名

      Development 131

      ページ: 2521-2532

  • [雑誌論文] Early fin primordia of zebrafish larvae regenerate by a similar growth control mechanism with adult regeneration2004

    • 著者名/発表者名
      Kawakami, A.et al.
    • 雑誌名

      Developmental Dynamics 231

      ページ: 693-699

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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