研究概要 |
ユビキチン化された蛋白分子がプロテアソームにより分解される系は、様々な細胞内シグナル分子の発現制御及び活性化において重要な反応系である。中でもSCFユビキチンリガーゼ(E3)の系は特に、細胞周期、発生におけるシグナル伝達に重要であることが示された。その活性制御機構を明らかにするために、まずSCF複合体に結合するタンパク質の取得を試みた。 1)新規のSCF結合タンパク質の単離と解析 SCF構成要素の一つであるSkp1を餌としてYeast two hybrid法を用い、SCFへの新規結合タンパク質の取得を行った。その結果、4種の新規タンパク質が取得され、その中には、新規のF-boxタンパク質等が含まれていた。これらはいずれもin vivoでSkp1と結合することが確認された。中でもSbp2を酵母の中で高発現すると、フローサイトメーターによる解析で多倍数体の出現が認められ、細胞が致死になることが見いだされた。種々のSbp2欠失変異体を作成し、Skp1及びSCF遺伝子群との遺伝学的解析を進めたところ、Sbp2のF-box領域およびそれに隣接するリンカードメインがSCFに対し負の効果をもたらすことが明らかになった。 2)TAPシステムを用いたSCF結合タンパク質の取得 最近開発されたTAP(Tandem Affinity Purification Tag)システムを用い、FWD1,Skp2,Cull,Cul2,Cul3複合体を精製した。この場合、対照標品には結合タンパクが全く見られないことから、これらに見られる結合タンパク質は上記タンパク質に対する真の結合タンパクであることが示された。この中には、Skp1,Rbx1、elongin B,elongin Cはもとより新規タンパク質数種が含まれていた。これらはSCFの活性制御などに関わっている可能性が考えられる。現在マススペクトロメーターでこれらのアミノ酸配列の決定を行っている。
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