2002 年度実績報告書

オートファジーを担うApgシステム(酵母)

研究課題

研究課題/領域番号	12146206
研究機関	岡崎国立共同研究機構
研究代表者	野田健司岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (00290908)
研究分担者	阪井康能京都大学, 農学系研究科, 助教授 (60202082)
キーワード	オートファジー / 液胞 / 出芽酵母 / メタノール資化性酵母 / ユビキチン
研究概要	研究分担者である野田のグループは、マクロオートファジーに関与する分子Apg8がユビキチン様の反応系を経て、脂質分子(ホスファチジルエタノールアミン)と結合することを発見し、膜構造体オートファゴソームの形成に深く関わること明らかにした。Apg8の修飾反応は、生体内ではApg12系の存在により影響を受けるが、一方で、修飾系酵素E1,E2のみを存在させることにより、修飾反応を試験管内で再現させることができた。この反応系は高効率で進行することから、一般的なユビキチン類似反応に必要とされる基質認識分子(E3)は関与せず、新規な基質(ホスファチジルエタノールアミン)認識機構の存在が示唆された。また、ホスファチジルイノシトール3キナーゼ分子が、Apg8をオートファゴソーム形成に関わる新規の前膜構造体PASに局在化させることを見出した。前膜構造体PAS上にホスファチジルイノシトール3リン酸が局在し、それに結合する新規分子も同定し、その機能解析を行っている。研究分担者である阪井らのグループは、1)ミクロオートファジーに関わる少なくとも17のPAZ遺伝子を同定し、その中にユビキチン様蛋白質であるPaz2及びその修飾系に関わる関連遺伝子群を見出した。2)ミクロオートファジーの過程においてPaz2は、修飾系に依存しない第1の機能と修飾系に依存する第2の機能がある。特に第1の機能はこれまで知られているユビキチン様タンパクの中でもユニークなものである。3)第2の機能について追跡するため、Paz2修飾系とその細胞内挙動を、分子遺伝学・生化学的に追跡したところ、ミクロオートファジーの際に特異的に出現する新たな膜構造を発見しMIPAと名付けた(Mukaiyama et al.,投稿中)。4)MIPAは液胞膜どおしが融合する直前の段階で必要である。5)またMIPA上で働く新規な遺伝子産物としてPaz4を見出しその機能を解析中である(Oku et al.,投稿中)。

研究成果

(6件)

すべてその他

すべて文献書誌 (6件)

[文献書誌] Hamasaki M, Noda T, Ohsumi Y.: "The early seretory pathway contributes to autophagy in yeast"Cell Struct. Funct. (印刷中). (2003)
[文献書誌] Hanaoka H, Noda T, Shirano Y, Kato T, Hayashi H, Shibata D, Tabata S, Ohsumi Y.: "Leaf senescence and starvation-induced chlorosis are accelerated by the disruption of an Arabidopsis autophagy gene"Plant Physiol. 129. 1181-1193 (2002)
[文献書誌] H Mukaiyama, M Oku, M Baba, T Samizo, AT.Hammond, B.S.Glick, N Kato, Y Sakai: "Paz2 and 13 oher PAZ gene products regulate vacuolar engulfment of peroxisomes during micropexophagy"Genes to Cells. 7(1). 75-90 (2002)
[文献書誌] 阪井康能, 向山博幸: "ミクロオートファジーの分子解剖とユビキチン様タンパク質Paz2の新しい機能"細胞工学. 21(6). 618-622 (2002)
[文献書誌] T Nakagawa, T Mizumura, H Mukaiyama, T Miyaji, H Yurimoto, N Kato, Yi Sakai, N Tomizuka: "Physiological Role of the second alcohol oxidase gene MOD2 in the Methylotrophic Growth of Pichia methanolica"Yeast. 19. 1067-1073 (2002)
[文献書誌] Noda T, Suzuki K, Ohsumi Y: "Yeast autophagosomes : de novo formation of a membrane structure"TRENDS IN CELL BIOLOGY. 53-9. 231-235 (2002)

2002 年度 実績報告書

オートファジーを担うApgシステム(酵母)

研究代表者

野田 健司 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (00290908)

研究成果

[文献書誌] Hamasaki M, Noda T, Ohsumi Y.: "The early seretory pathway contributes to autophagy in yeast"Cell Struct. Funct. (印刷中). (2003)

[文献書誌] Hanaoka H, Noda T, Shirano Y, Kato T, Hayashi H, Shibata D, Tabata S, Ohsumi Y.: "Leaf senescence and starvation-induced chlorosis are accelerated by the disruption of an Arabidopsis autophagy gene"Plant Physiol. 129. 1181-1193 (2002)

[文献書誌] H Mukaiyama, M Oku, M Baba, T Samizo, AT.Hammond, B.S.Glick, N Kato, Y Sakai: "Paz2 and 13 oher PAZ gene products regulate vacuolar engulfment of peroxisomes during micropexophagy"Genes to Cells. 7(1). 75-90 (2002)

[文献書誌] 阪井康能, 向山博幸: "ミクロオートファジーの分子解剖とユビキチン様タンパク質Paz2の新しい機能"細胞工学. 21(6). 618-622 (2002)

[文献書誌] T Nakagawa, T Mizumura, H Mukaiyama, T Miyaji, H Yurimoto, N Kato, Yi Sakai, N Tomizuka: "Physiological Role of the second alcohol oxidase gene MOD2 in the Methylotrophic Growth of Pichia methanolica"Yeast. 19. 1067-1073 (2002)

[文献書誌] Noda T, Suzuki K, Ohsumi Y: "Yeast autophagosomes : de novo formation of a membrane structure"TRENDS IN CELL BIOLOGY. 53-9. 231-235 (2002)

2002 年度実績報告書

野田健司岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (00290908)