NO-cGMP系情報伝達システムの分子機構

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12147201
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 齋藤 正男 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (70302239)
• 研究分担者: 松井 敏高 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (90323120) ; 広津 晶子 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (50333901) ; 富田 毅 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (20302242)
• キーワード: 可溶性グアニル酸シクラーゼ / ヘム / センサーヘムタンパク質

研究概要

本年度は可溶性グアニル酸シクラーゼのヘムドメインの結晶化を中心に研究を進めた。昨年度の研究結果より、可溶性グアニル酸シクラーゼのヘム周囲の構造を形成するヘムドメインが存在することが明らかになり、そのヘムドメインは大腸菌による大量発現系を用いることによって比較的容易に調製することが可能になった。まずはじめに精製タンパク質を用いて簡単な結晶化条件のスクリーニングを行ったが、全く結晶化につながるような兆候を得ることはできなかった。その原因を探るため、試料の分光学的性質を再度子細にわたって検討を重ねることにより、ヘムの構造が明らかに異なっているものがわずかに混入しているとの結論に達した。そこで改めて精製法を検討することにした。その結果、以前のものよりも不純物の含有量が低い試料を調製することができるようになった。現在、本年度開発した方法で精製したタンパク質を用いて結晶化条件のスクリーニングを行っている。このタンパク質は疎水性の高い領域をもっているために凝集しやすいので、今後は界面活性剤を加えた結晶化条件のスクリーニングも実行する予定である。本年度はさらにいくつかのセンサーヘムタンパクの研究も行った。近年グアニル酸シクラーゼ以外にも、ヘムが気体分子のセンサーとして働いている例が続々と報告されている。酸素センサータンパク質FixLとそのホモログおよび可溶性グアニル酸シクラーゼのホモログなどの新しいヘムタンパク質について試料を調製し、それらの分光学的性質を調べ、タンパク中のヘムの構造と役割について議論した。

研究成果

• [文献書誌] Lesnefsky, E.J., Ikeda-Saito M.他5名: "Ischemic injury to mitochondrial electron transport in the aging heart : Damage to the iron-sulfur protein subunit of electron transport complex III"Arch. Biochem. Biophys.. 385. 117-128 (2001)
• [文献書誌] Lesnefsky, E.J., Ikeda-Saito M.他5名: "Aging decreases electron transport complex III activity in heart interfibrillar mitochondria by alteration of the cytochrome c binding site"J. Mol. Cell Cardiol.. 33. 37-47 (2001)
• [文献書誌] Fujii, H., Tomita, T., Ikeda-Saito, M.他2名: "A Role for highly conserved carboxylate, Aspartate-140, in oxygen activation and heme degradation by heme oxygenase-1"J. Am. Chem. Soc.. 123. 6475-6484 (2001)
• [文献書誌] Tomita, T. 他8名: "Elucidation of the differences between the 430 and 455-nm absorbing forms of P45O-isocyande adducts by resonance Raman spectroscopy"J. Biol. Chem.. 276. 36261-36267 (2001)