(I)血管内皮細胞増殖因子受容体の恒常的活性化型の発現依存性に基底膜基質に浸潤して管腔を形成する内皮細胞株を樹立したことはすでに報告した。この生物学的系は同受容体のチロシンキナーゼ活性と基底膜基質の刺激によって引き起こされるため、両者によって発現が変化する遺伝子をdifferential displayとcDNA microarrayによって探索し、下記に示すいくつかの候補遺伝子を抽出した。 (1)候補遺伝子の一つであるCD2APはCblと協調して本来のVEGF受容体の一つであるFlt-1のendocytosisに関与することを証明し現在投稿中である。 (2)候補遺伝子のなかで亜鉛含有分子として知られるMatrix Metalloprotease (MMP)が複数同定され、同時に発現誘導のかかる特定の転写因子がMMPの転写に関与することを見い出した。 (3)候補遺伝子のなかで唯一鉄含有分子としてNox1を検出した。哺乳類細胞での生物学的活性を様々な発現系で検討し、増殖抑制作用があるとほぼ結論した。論文を投稿中である。 (II)基本転写因子TFIIHのヘリケースXPBで感受性が回復する紫外線感受性27 1細胞の生物系で、BCR-ABLチロシンキナーゼが二重鎖DNA依存性プロテインキナーゼの基質であるClDの転写に関与すること、同時に同分子の発現がこの生物系に重要であることを見い出し、現在論文を投稿中である。
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