(1)糖尿病の合併症では酸化ストレスが重要な役割を果たしており、糖質や脂質の修飾分子が活性酸素産生と共にPAI-1の産生を脂肪細胞で生じることを、in vitroおよびin vivoで証明した。PAI-1は血管新生で重要な役割を演じる分子である。 (2)熱ショックなどをはじめとするストレス環境で蛋白質の安定性や分解に関与するHSC70の核内外移行を制御するシークエンスを発見した。 (3)活性酸素産生の中心的存在であるマクロファージは血管内皮細胞以外で例外的にVEGF受容体-1を発現している。VEGF結合後のこの受容体の分子動態を解析し、特定のチロシン残基のリン酸化がユビキチン結合と受容体の分解に関与することを証明した。 (4)血管内皮細胞の管腔形成に連動して発現調節が行われる遺伝子を複数の群としてとらえ、血管新生にはVEGF受容体のチロシンキナーゼ活性と基底膜基質からのシグナルの双方が協調して遺伝子発現を制御することを提唱した。
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