研究概要 |
GTPCHI (GTP cyclohydrolase I)は、Znイオンを活性中心にもち、GTPをBH4 (tetrahydrobiopterin)へ変換する一連の反応の初発律速酵素であり、動物細胞においてはGTPCHIの活性はGFRP (GTPCHI feedback regulatory protein)によって正と負の両方のフィードバック制御を受けている。昨年度は、ラット由来のGTPCHIとGFRPおよび正のアロステリックエフェクターのフェニルアラニンとの三者複合体(360kDa-活性型複合体)の分解能2.8Åの構造解析を終了し、活性部位のZnイオンの同定やGFRPとフェニルアラニンの結合によるGTPCHIの活性化機構を解析して、論文発表した(Proc. Natl. Acad. Sci. USA,2002)。これに引き続き、本年度は、負のアロステリックエフェクターであるビオプテリン(BH2)との三者複合体(360kDa-不活性型複合体)の構造を決定した。その結果、ビオプテリン結合部位は、GTPCHIとGFRPとの境界領域にあり、GTPCHIの中央部にあるZnイオンを配位した活性部位からは遠いことがわかった。しかし、ビオプテリン結合部位での構造変化が、活性部位を覆っていたペプチドに伝播して、本来、ポケット状であった活性部位が、大きく口を開くようになっていることが明らかとなった。活性部位のZnイオンの配位状態(4配位で2つのシステインと一つのヒスチジンが配位)の大きな変化は見られなかった。
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