研究課題
X線結晶解析により金属蛋白質、およびその制御蛋白質やシグナル分子(あるいは基質)との複合体の結晶構造を決定し、得られた三次元構造をもとに金属の果たす役割とその制御メカニズムを解明することを目的とした。特に、制御蛋白質などとの相互作用を通して、金属を含むセンサーあるいは活性部位の配向や構造、蛋白質内部での金属周辺の環境や金属の配位状態がどのように変化して、活性等の切り換え(スウィッチ)機構が達成されるかを主眼にして、研究を推進した。MgイオンあるいはMnイオンを必須として(2-metal center)、枝分かれしたDNAを切りそろえるFEN-1 (flap endonuclease 1)の構造解析と機能解析を完了して、論文発表した。このFEN-1は、5'末端突出DNA (flap DNA)を特異的に切断する構造特異的ヌクレアーゼであり、DNA複製ではラギング鎖の岡崎フラグメントのRNAプライマーを、塩基除去修復では損傷塩基を含むオリゴヌクレオチドを切断除去する。FEN-1の酵素活性は、この酵素をDNAに固定するDNAクランプであるproliferating cell nuclear antigen (PCNA)と結合することによって、大幅に促進される。ヒト由来のFEN-1とPCNAとの複合体結晶構造をもとに、両者間の相互作用には、ドメイン-ドメインのものと、ドメイン-ペプチド性のものがあり、FEN-1のコアドメインとPCNAリングとの相互作用がFEN-1を不活性な、しかしDNA上の移動には都合のよい、状態に保つというメカニズムを提唱し、変異実験による解析によって、証明した。また、FEN-1、PCNA、DNAの三者複合体の結晶化については、今後の展開に期待できるところまで、推進することができた。
すべて 2005 2004
すべて 雑誌論文 (5件)
EMBO J 24・4
ページ: 683-693
Genes to Cells 10・1
ページ: 1-11
J.Biol.Chem. 279・49
ページ: 51534-51540
Pterins, Folates and Neurotransmitters in Molecular Medicine
ページ: 16-19
日本結晶学会誌 46
ページ: 201-208