ショウジョウバエゲノムの遺伝子機能の体系的解明

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12202002
• 研究機関: 東京都立大学
• 研究代表者: 相垣 敏郎 東京都立大学, 理学研究科, 助教授 (80150879)
• 研究分担者: 林 茂生 国立遺伝学研究所, 系統生物センター, 教授 (60183092)
• キーワード: ショウジョウバエ / ゲノム / Gene Searchシステム / 強制発現 / 酸化ストレス耐性 / 寿命

研究概要

1. 研究の目的と進め方
ショウジョウバエゲノムの遺伝子機能を体系的に解明することを目的として、強制発現を誘導できるGene Search(GS)ベクター挿入系統を大規模に作製し、ゲノム地図上での挿入位置情報、及び表現型情報を統合するデータベースを構築する。
2. 2001年度の研究の当初計画
新たに2,000系統のGSベクター挿入系統を作成し、各系統からゲノムDNAを抽出して、inverse-PCRによりベクター挿入部位のゲノム配列を決定する。GS系統にGAL4系統を交配して、F1個体における表現型の解析を行う。個体寿命測定の自動化条件の設定を行う。
3. 2001年度の成果
GS6ベクターをショウジョウバエのゲノムにランダムに挿入した系統を新規に6,000系統作成した。GAL4依存的に強制発現を誘導し、酸化ストレス条件下での個体寿命を自動的に測定する方法を確立した。挿入サイトをマッピングするために、Inverse-PCRの条件を最適化し、挿入サイトの情報を取得した(分担者、林との共同作業)。マップ情報を表現型情報と統合するデータベース(GSDB)を構築した。
4. 国内外での成果の位置づけ
年度当初に予定した2,000系統/年をはるかに上回る速度で系統を作成することができた。現在保有するGS系統は合計約10,000系統に達し、マッピング情報が付加されたコレクションとしては世界的に類をみない大規模なものである。
5. 達成できなかったこと、予想外の困難、その理由
表現型情報の網羅的取得に時間を要している。その理由としては、今年度は新規の表現型として個体寿命の自動測定法を確立することを優先したためである。

研究成果

• [文献書誌] Umemiya, T., Takasu, E., Takeichi, M., Aigaki, T., Nose, A.: "Forked end:a novel transmembrane protein involved in neuromuscular specificity in Drosophila identified by gain-of-function screening"J.Neurobiol.. (印刷中). (2002)
• [文献書誌] Seong, K.-H., Matsuo, T., Fuyama, Y., Aigaki, T.: "Neural specific overexpression of DPOSH,Drosophila Plenty of SH3s,extends the longevity of adult flies"Biogerontology. 2. 271-281 (2001)
• [文献書誌] Seong, K.-H., Ogashiwa, T., Matsuo, T., Fuyama, Y., Aigaki, T.: "Application of the gene search system to a screen for longevity gene in Drosophila"Biogerontology. 2. 209-217 (2001)
• [文献書誌] Ejima, A., Nakayama, S., Aigaki, T.: "Phenotypic association of spontaneous ovulation and sexual receptivity in virgin females of Drosophila melanogaster"Behavior Genetics. Vol.31,No.5. 437-444 (2001)
• [文献書誌] Aigaki, T., Ohsako, T., Toba, G., Seong, K.-H., Matsuo, T.: "The gene search system:its application to functional genomics and a screen for longevity genes in Drosophila melanogaster"J.Neurogenet.. 15. 1-10 (2002)