研究概要 |
本研究の目的は,小型魚類メダカを用いてその発生過程に働く遺伝子システムを発現遺伝子(武田)とゲノム構造(堀)の両面から解析し,脊椎動物の発生の進化過程を明らかにすることである.本年度は以下の研究成果が得られた, 1.Hd-rR系統を用いて,器官形成がダイナミックに進行する体節形成期のcDNAプラスミドライブラリー(6X10-9,insert size ave.1.5kb)を作製した.これよりクローンをランダムにとり,総括班シークエンスセンター事業の協力を得てシークエンスを進めた.2月末現在,BLAST.Cluster解析が終了しているのは4206クローン(クラスター数約2200)である.一方,発現パターンの解析については.配列が判明した大量のcDNA断片からDIG-RNAプローブを作製して,in situ hybridizationにより体節形成期における発現パターンを個別に調べる方法を確立した.2月末現在,518クラスターの発現パターンの解析を終了した.このうち,9個が発生過程で器官・ステージ特異的に発現しているものであった.今後は,ランダムシークエンス,発現パターンの解析をさらに進めるとともに,均一化ライブラリーや組織特異的ライブラリーを用いる予定である. 2.現在メダカで確認されているHox遺伝子の殆どを含むと考えられるBAC clone(7クラスター分8種類)を単離同定した。その構成についてマウスのみならずゼブラフィッシュやフグのそれと比較したところ、三者内にもその構成Hox遺伝子に相違がみられる。その内メダカHox遺伝子Hox Caクラスターを持つBACクローンについてショットガン法による配列決定をおこない、240Kbのcloneのほぼその全体像をえることができた。今後は残る6種類のメダカHox遺伝子クラスターについても配列決定をおこない、遺伝子内容の詳細を明らかにする。
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