研究概要 |
本研究の目的は,小型魚類メダカを用いてその発生過程に働く遺伝子システムを発現遺伝子(武田)とゲノム構造(堀)の両面から解析し,脊椎動物の発生の進化過程を明らかにすることである.本年度は以下の研究成果が得られた。 (1)メダカ体節期胚(南日本系統の純系Hd-rR)のcDNAライブラリーから,クローンをランダムにピックアップして3'と5'両側から配列を決定した。現在、約14,000弱のクローンの解析が完了し,クラスター数約5,400を得ている。また,多検体の自動化in situ hybridization法を確立して,1,000クラスターについて初期胚での発現パターンを記録した。約35%が組織特異的発現を示すクローンであった。現在,論文を準備中である。また,得られた配列情報をDDBJへ平成14年1月に登録して、メダカホームページMbase上でも公開した。 (2)メダカゲノムの基盤整備を進めるために,これまでに単離された発現遺伝子をメダカの連鎖地図へマッピングするシステムを導入した。現在,1ヶ月に30個のクローンを染色体上にマップする体制を整えた(精度2.5cM)。これまでに約150個のESTのマッピングを完了した。 (3)メダカhox遺伝子hoxcaクラスターを持つBACクロ-ンについてショットガン法による配列決定をおこない、240Kbのcloneのほぼその全体像をえることができた。さらにゲノムの全体像の解析がフグゲノムにおいて、不完全ながらも進行しはじめており、この膨大な情報をメダカの遺伝子地図と連結し、比較ゲノム的にメダカゲノムを明らかにする研究を開始した。さらに我々の構築したメダカHd-rR BACライブラリーの維持、分配、メダカ連鎖群1のBACコンテイグマップ作りを行ない、約3分の1の地図を作成した。
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