研究分担者 |
川村 実 岩手医科大学, 医学部, 助教授 (30142178)
島本 和明 札幌医科大学, 医学部, 教授 (40136940)
菊池 健次郎 旭川医科大学, 医学部, 教授 (30045455)
江藤 胤尚 宮崎医科大学, 医学部, 教授 (10038854)
藤田 敏郎 東京大学, 医学部, 教授 (10114125)
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研究概要 |
ゲノム資源を利用して,本態性高血圧をはじめとするヒト多因子疾患を理解するためには,臨床的に良く検討された質の高い検体を多数,集める必要がある.本研究では全国の施設から,遺伝子研究のガイドラインを遵守した方法で新たに検体を収集し,ゲノムワイドな探索による新しい発症関連遺伝子の単離同定を目的としている. 1.本態性高血圧症例と地域,職域集団のDNA検体の収集.これまでに内科外来における本態性高血圧症例598例,疫学集団995例の血液試料を収集した. 2.遺伝子多型頻度の地域差を検討し,対照集団設定の方法を検討する.遺伝子多型の地域差の有無をAGTのM235T多型とアンジオテンシン変換酵素(ACE)のI/D多型を使って調べた.対象地域は熊本,島根,北海道B町とした.いずれの地域でも遺伝子頻度に有意差はなかった 3.アンジオテンシノーゲン(AGT)遺伝子のハプロタイプ解析.AGT遺伝子領域のSNPs,42種類でハプロタイプ解析をおこなった.大部分の検体は頻度の高いハプロタイプ3-4種類に,収束することがわかった. 高血圧症例の目標数は3000例である.現在,遺伝的要因が強いと思われる100症例を使用して,ゲノムワイドのスクリーニングを計画している. 遺伝子頻度の地域差をAGTとACEの2遺伝子で検討したが,いずれも有意な差は検出できなかった.日本人では地域差を考慮する必要は少ないかもしれない.今後マイクロサテライト多型においても検討する予定である. AGT遺伝子の解析より,ひとつの遺伝子あたり連鎖不平衡が高くない3-4種類のSNPsを使ってハプロタイプ解析をおこなえば,高血圧発症関連遺伝子をとらえる事ができる可能性が高いと考えられる.仮に3種類で可能であるとすれば,ヒトの4万遺伝子をカバーするために12万個の遺伝子近傍のSNPsを解析すれば良いことが推測できる.
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