研究概要 |
気管支喘息・アトピー性疾患、統合失調症、血清脂質異常、心筋梗塞の関連遺伝子を同定することを目的とした。各々の疾患の患者家系を収集し、連鎖解析を行ってゲノム連鎖領域を特定し、その領域に存在する関連遺伝子を位置的候補遺伝子法によりを同定する方法をとった。前年度までに、気管支喘息およびかもがや花粉症の全ゲノム連鎖解析を終えており、統合失調症は2種類の全ゲノム連鎖解析を終了に近いところまで到達していた。 研究の結果、気管支喘息は染色体5q33.1-q34にある97のref seq遺伝子の変異検索を完了した。このうち、54遺伝子(群)187SNPsの関連を検討し、6遺伝子のSNPにおいて、関連が示唆された。この他に機能未知の転写産物の登録されている2領域において、関連を示唆するデータを得た。かもがや花粉症は、連鎖が示唆された9領域をさらにマイクロサテライトヤーカーで解析し、9qの機能未知の関連遺伝子を検出した。 統合失調症は共同研究グループJSSLGの全ゲノム連鎖解析の一次スクリーニングが終了した。全ゲノムレベルでの有意あるいは連鎖を示唆するデータは得られず、日本人においても統合失調症に寄与する影響力の大きい遺伝子は存在しないことが示された。生理学的マーカーを利用した連鎖解析では22qに連鎖領域を検出した。これらの連鎖解析の結果に基づき22q,5qを中心に遺伝子近傍のマイクロサテライトマーカーを用いた連鎖不平衡解析を行い、各々1マーカーについて連鎖不平衡領域を検出した。 血清脂質異常は高コレステロール血症の児童を発端者とした83家系364人を用いて、全ゲノム連鎖解析を行い、15q26領域に有意な、3q28に連鎖を示唆する領域を検出した。 心筋梗塞では17家系19組の心筋梗塞発症同胞対について全ゲノム連鎖解析を行い、17q25,18q22,20q13において,LOD値がそれぞれ1.1,1.2,1.0を示す領域を見出した。
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