研究概要 |
気管支喘息・アトピー性疾患、精神分裂病、血清脂質異常、心筋梗塞の関連遺伝子を同定することを目的とした。各々の疾患の患者家系を収集し、連鎖解析を行ってゲノム連鎖領域を特定し、その領域に存在する関連遺伝子を位置的候補遺伝子法によりを同定する方法をとった。 気管支喘息・アトピー:気管支喘息は染色体5q33.1-q34にある遺伝子の変異検索を終了し、TDTでスクリーニングした結果、CYFIP2遺伝子が気管支喘息の関連遺伝子であることを同定した。6pの連鎖領域ではLTA-TNF遺伝子の連鎖不平衡ブロックが気管支喘息と強く関連しており、その関連はTNFの5'側の1SNPがほぼ決定していることを確認した。13qの連鎖領域では、CYSLTR2遺伝子プロモーターの多型が気管支喘息と関連していることを同定した。かもがや花粉症は連鎖領域のうち4qのSDAD1,CXCL9,CSCL10,CXCL11の約30kbpのハプロタイプブロックと花粉症が関連していることを同定した。 精神分裂病:患者およびコントロールの死後脳の前頭前野での遺伝子発現の違いをチップでスクリーニングし、117遺伝子において違いが見られた。さらに、発現の変化がゲノム変異と関連している可能性について、237SNPsでスクリーニングし、関連する遺伝子PDLIM5を同定した。この遺伝子は末梢血リンパ芽球の遺伝子発現でもコントロールに比べて有意に差が見られた。 血清脂質異常:HDLコレステロール値と関連する遺伝子変異を検索し、ABCA1遺伝子のプロモーター領域の多型が関連することを同定した。 心筋梗塞:収集したサンプルは22家系26組に増えた。17家系19組の段階での全ゲノム連鎖解析を行い、17q25,18q22,20q13において,LOD値がそれぞれ1.1,1.2,1.0を示す領域を見出した。
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