研究概要 |
免疫グロブリンスーパーファミリーに属する抑制型受容体であるLIR1(ILT2, LILRB1)遺伝子群の変異スクリーニングを行い、5個所の非同義置換を含む17個所のSNPを見出した。これらのSNPによって構成されるハプロタイプを決定し、関節リウマチ(RA)、全身性エリテマトーデス(SLE)との関連研究を行った結果、細胞外領域の非同義置換を伴うハプロタイプとRAの関連を見出した。次に、B細胞の生存、活性化に重要な役割を果たすBlySおよびそのリセプターであるBAFF-Rの変異解析を行い、BLySに4個所のSNPと1個所のまれな非同義置換を、BAFF-R遺伝子には3個所のSNP(1個所が非同義置換)と3個所のまれな塩基置換を検出した。これらのうち、BLyS遺伝子プロモータ多型が単球のBLyS mRNA量と関連することに加えて、BLyS多型と,BAFF-R多型の組み合わせが、RAとの関連を示すことを見出した。また、昨年度SLEとの関連を報告したFCGR遺伝子群の多型についてRAとの関連を検討したところ、HLA-DRB1 shared epitope陽性者において、FCGR3A-176F/F遺伝子型がRAと有意な関連を示すことを見出した。さらに、タイの研究グループとの共同研究を進め、SLEとFCGR遺伝子群の関連を検討したところ、昨年度日本人患者で見出した,FCGR2BとSLEとの有意な関連などをタイの患者についても認めた。一方、昨年度までにRA滑膜組織の血管内皮における過剰発現を検出したID遺伝子を培養血管内皮細胞に遺伝子導入により強発現させることにより、内皮細胞の増殖と活性化(ICAM-1, E-selectin発現)を誘導し、RA滑膜の病態と関わりを持つことが示唆された。
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