研究概要 |
遺伝子発現パターン等の特徴から遺伝子の機能を推測するためには、精密な遺伝子発現プロファイリングを行う必要がある。そのためにはマイクロアレイより、高精度なデータ集積に適したPCRベースの発現定量法iAFLP法とデータ解釈ツールとしてLSI-BOB法を併用することが最高の出力を保証する。更に、未知遺伝子に対する正確な機能予測を行うために正確な発現データ収集及びLSI-BOB法の改良が必要である。 本年度の計画として、これまで使用してきたPCR primerについて解読された全ゲノム配列と比較することにより、PCR産物が複数になるprimerを除去した。次に、アニーリング温度等の条件をplateごとに揃えることで、PCR反応による増幅誤差をなくすprimer setを構築した。 また、同plateに発現量の高いものと低いものが混在した際、低い発現量のプロファイルに歪みが生じることが分かったため、Bodymap、SAGE、Microarray等のデータより発現頻度の等しい遺伝子同士を同じplateでPCRするようにprimer setを構成した。 その結果、ヒト(22,000primer)及びラット(10,000primer)の測定では、全primerの9割以上でデータが抽出でき、再現性も非常に高いものであった。 これにより、ヒト組織(30種)、ヒト胎児組織(42種)、培養細胞(50種)、ラット組織(30種)、合計152種のデータを新たに正常組織遺伝子発現データとしてデータベースに加えることができた。 BOB法に関しては、新たに10冊分の生物・医学関連の教科書知識を整理したことで、より詳細な発現データ解釈を行うことが可能になってきている。また、入力された生物・医学知識をカテゴリー分類することにより発現パターンにより遺伝子機能を正確に予測できるようにした。
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