研究概要 |
1.統合失調症関連遺伝子群の解明 1)既に完了した全ゲノムにわたる罹患同胞対解析の結果と、諸外国からの報告を考慮し、再現性の高い5q33.1領域について候補遺伝子を選定し、遺伝子領域内に均等に配置したSNPによる連鎖不平衡解析に基づく関連解析を行った。現在のところ、GLRA1,CSNK1A1,NMU2R,G3BP,ATOX1,SPARC,FAT2,SLC6A7の解析が終了したが、まだ関連は見出されていない。 2)統合失調症のグルタミン酸伝達異常モデルに基づき、グルタミン酸受容体遺伝子群の系統的な関連解析を昨年度に引き続き行い、GRIN2D,GRM1,GRM7,GRM8において関連を認めた。 3)投与ラットの大脳の5部位からマイクロアレイを用いて発現に変化を来す遺伝子(発現亢進71個、発現低下1個)を見出した。 4)先に関連が認められたGRM3,GRIA4についてノックアウトマウスを作成中であり、現在キメラマウスを単離した段階である。 2.結核発症に関連する宿主遺伝要因の解明 1)結核の罹患同胞対解析のために4施設から結核同胞例の8家系21検体(うち家系内対照4検体)を集積した。また、sTDT解析のための同胞検体4組8検体および相関解析のための結核患者検体76検体を収集した。 2)IL-12/IFN-γ経路の遺伝子解析として、新規のBCG骨髄炎症例3例のIFNGR1,2、うち1例ではさらにIL-12B,IL-12RB1,IFNG,STAT-1を解析したが、異常を認めなかった。既知のIL-12/IFN-γ経路に異常のないBCG骨髄炎症例(intact群)のうち6例でIL-23(p19)とIL-23R、8例でIL-27Rを解析したが、異常を認めなかった。BCG刺激単核球のDNAマイクロアレイは、まずCytokine CHIP(242spots)を用いた解析では、優性IFN-γR1部分欠損の2症例ではIRF-1の発現低下がみられたが、IFNGR1,2に異常のないBCG骨髄炎3例では対照との相異はみられなかった。AceGene Human Oligo Chip 30K(30,000spots)を用いた解析では、intact群の1症例と対照との間で逆の発現パターンをとる遺伝子5個を見出した。両者の比は2.4〜2.8であった。
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