多因子遺伝病である骨粗鬆症と自閉症について、(1)先天骨密度調節遺伝子を利用して骨粗鬆症関連遺伝子を同定し、(2)刷り込み領域から自閉症遺伝子を含むインプリンティング関連遺伝子を単離・同定し、各疾患の分子病態を解明することが本研究の目的である。 (1-a)骨密度増加モデルマウスの作成:変異Tgfb1を導入したES細胞から相同組み換え体を分離し、現在、TGF-β1変異マウスを構築中である。(1-b)骨粗鬆症患者におけるTGF-β1シグナル伝達系に関わる遺伝子群のSNP解析:合成プライマーを用いて正常人16名をプールし、TGFB1、TGFBR、Smad遺伝子を増幅し、現在までにTGFB1中に13種、TGFBR1中に19種の新規SNPsを同定した。集団健診に訪れた被験者500名からインフォームドコンセントを得た後血液の提供を受け、DNAを抽出し、現在これらのSNPと骨粗鬆症との関連を調べている。 (2-a)自閉症関連遺伝子の解析:自閉症座を含む7q32領域の刷り込み遺伝子の探索を行うため、最初に同領域の1.2MbのPAC/BACコンティグ、転写・発現地図を構築し、9個の新規遺伝子、6個の既知遺伝子、70個の新規STSを同定し、同領域の刷り込みドメインを確認した。(2-b)一方、雑種体細胞パネルを用いた7q32刷り込み関連遺伝子の系統的な単離の研究を開始し、3個の新規刷り込み遺伝子を同定・単離した。(2-c)現在、これらの新規刷り込み遺伝子内外のSNPを同定しつつある。(2-d)SNP関連解析に用いる自閉症の罹患同胞対はインフォムードコンセントの基、東京大学、札幌市の自閉症施設との共同研究で、現在20組の血液DNAを集積中である。
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