研究概要 |
多因子病である骨粗鬆症を解明することを目的とし、4集団(NG-1:骨密度検診女性481名、HK:骨粗鬆症女性126名と対照女性131名、NG-2:骨粗鬆症患者108名と対照女性131名、HS:骨粗鬆症患者76名と対照76名)において、先天骨密度(BMD)調節遺伝子を候補とした相関解析を行った。骨密度に関する関連解析:最初に、8種の候補遺伝子中に多数の新規SNPを同定し、アレル頻度を算出した後、NG-1集団の補正撓骨骨密度とSNPとの関連解析を行った。しかしLRP5を除き、7種のTgf-b関連遺伝子では相関はみられなかった。LRP5では、21種SNPのハプロタイプ(HT)から1つのLDブロックを構築し、頻度が5%以上を示す4つの共通HTと、それらを区別する3種のタグSNPを同定した。この結果、「HT3」のヘテロ接合あるいはホモ接合女性(n=104)は、それ以外(n=377)よりも有意に低いBMD値(0.425対0.442g/cm^2)を示した(p=0.023)。また、タグSNPでは、LRP5-9のC/C遺伝子型女性(n=275)はC/TやT/T(n=206)よりも有意に高いBMD値(0.444対0.430g/cm^2)を示し(p=0.022)、LRP5-20のG/G(n=375)、およびLRP5-21のC/C(n=271)は他の遺伝子型よりもBMDが高値であった(0.441対0.427g/cm^2,p=0.039、0.443対0.432g/cm^2,p=0.053)。骨粗鬆症に関する患者・対称群解析:HK集団における骨粗鬆症と対照女性間の関連解析を行った結果、LRP5-8およびLRP5-9において有意な相関を得た(p=0.001;p=0.009)(表)。相関はさらにNG-2骨粗鬆症集団でも再現された(p=0.020;p=0.015)(表)。また、NG-2集団ではLRP5-21も相関を示した(p=0.004)。しかし、HS集団での相関は陰性であった。これらの結果から、LRP5はBMD規定因子の1つであり、また骨粗鬆症の発症危険因子である。
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