研究概要 |
最も単純な多細胞体制をもつモデル生物、細胞性粘菌Dictyostelium discoideumの大規模なcDNA解析を行ない、次の成果を得た。 1)cDNA解析として、(1)新たに、増殖期由来のcDNAクローン約8,000個の塩基配列を決定(遺伝研・小原と共同研究)し、解析中であり、(2)増殖期、集合期、移動体期、子実体形成期の細胞由来の完全長cDNAライブラリーを作製(医科研・菅野と共同研究)し、まず、既知遺伝子の情報をもとにライブラリー(141クローンについて)の評価を行ったところ、90%が翻訳開始コドンを持つ高品質のライブラリーであった。現在、遺伝研で塩基配列を決定中である。 2)遺伝子発現のプロファイル解析として、(1)約7,000個のクローンについて、米国ベイラー医科大学と共同でマイクロアレイを作製し、発生過程の経時的変化と分化した細胞(予定胞子細胞と予定柄細胞)で行ない、(2)遺伝子の空間的発現を、運動を支えるタンパク質遺伝子とcAMPの生産と制御に関与するタンパク質の遺伝子についてin situハイブリダイゼーション法で解析した。 3)効率的でかつREMI法とは異なる挿入突然変異体作製法を開発する目的でポリAトラップ法を粘菌に適用できる条件検討を行ないつつある。 4)現在、約2万個の配列をDDBJに登録しているが、Phrapを用いてcontig作製を行ない、移動体期のクローン約15,600(SLシリーズ、SSシリーズ)についてcontigを作製した。また、配列のアノテーションを行なう「カタログ」作成作業をプログラム化した。
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