研究概要 |
最も単純な多細胞体制を持ち細胞分化するモデル生物、細胞性粘菌Dictyostelium discoideumの大規模なcDNA解析を行い、次の成果を得た。 (1)完全長cDNAライブラリーの中で残っていたHシリーズ43,724クローンの配列決定が終わり、計画していた全ての配列決定は終了した。解析した総cDNAクローン数は95,884で、157,284リードから得られたcDNAコンティグの総数は6,718になった。これらの配列情報を整理して1部アノテーションを付けその他の関連情報とともにHPで公開している。(2)染色体2番に存在する遺伝子のcDNAコンティグをGeneSeqrプログラムで染色体にたいして対応付けを行った。(3)40の転写制御関連遺伝子について、遺伝子破壊処理を行い16遺伝子について破壊株を得、また、Real time定量PCRで発現量を定量した。また、機能解析のために、部位特異的に発現する遺伝子のプロモーターとGFPを融合させたベクターを5種作製した。(4)脱分化過程での遺伝子発現プロファイルの解析が進行中で、この過程は3つのphaseを持ち、phaseIIで発現が上昇する遺伝子273個にはG2で発現するものが多かった。(5)細胞周期での遺伝子発現プロファイルの解析が進行中で、この過程には共発現する3つの遺伝子グループが存在することがわかった。(6)約400個の遺伝子についてin situハイブリダイゼーション解析を行い、特に予定柄細胞で発現する遺伝子に注目し、PstA, PstAB, PstO細胞特異的に発現する遺伝子を同定した。また、各発現パターンをデータベースとしてHPに掲載した。 (http://www.csm.biol.tsukuba.ac.jp/〜tools/bin/ISH/index.html)。
|