研究概要 |
枯草菌機能未知遺伝子破壊株バンクを用いて、胞子の耐熱性を指標にしたスクリーニングから得られた遺伝子の機能解析を進めた。昨年度報告したyaaT, ybdAB, yqjE, ykvVのうち、ykvV, ydiHのより詳細な解析を行い、それぞれσ^Kの活性化とコルテックス合成に関与するタンパク質、胞子形成開始期に必要なDNA結合タンパク質をコードすることを明らかにした。また、EUのグループにより作製された約1200株の遺伝子破壊株についても同様に調べ、8個の胞子形成に関与する遺伝子を見出し、特にymcA, ytcFは胞子形成開始期に重要な働きをもつことが示された。さらに、機能が推定されている遺伝子としてdgkA(diacylglycerolkinase)は、細胞膜合成に関わることが推定されるが、胞子形成期においてはコルテックス形成に関与することを明らかにした。 LC/MS/MS解析により得られた約150種類のタンパク質のうち、約30種類の遺伝子について、LacZアッセイにより示されていた発現制御因子に対応するプロモーター配列を推定することができた。上記の遺伝子についてGFP融合タンパク質生産株の作製も終了した。蛍光顕微鏡により観察されたGFP融合タンパク質の局在部位は、遺伝子発現制御因子とタンパク質のアミノ酸配列をもとに推定されていた局在部位とほぼ一致することが分かった。また、GFP融合タンパク質の蛍光が確認された場合でも、GFP融合タンパク質が胞子から抽出されず、免疫ブロッティングで検出されない場合があることがわかった。一方、細胞分化の過程を連続的に追うために必要な蛍光顕微鏡によるタイムラプス画像を得る方法を確立した。細胞膜をFM4-64、DNAをSYTO16で染色し、GFP融合タンパク質の局在をシングルセルで動画として捕らえることが可能となった。
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