研究概要 |
枯草菌における細胞表層局在性蛋白質の網羅的解析を進めた。その結果、細胞壁に非共有結合で結合する蛋白について、6つの機能未知蛋白質を含む16個の遺伝子産物を同定した。DNAアレイよりSigD制御下にある新規12遺伝子を見出し、Northern解析により再現性を確認した。またSigD依存性菌体外プロテアーゼEprが、細胞壁結合蛋白質の安定性において主要な役割を担っていた。蛋白の局在性を調べることを目的に、モデルとして細胞壁溶解酵素とtagとの融合蛋白発現システムを構築し、細胞表層における局在性観察法を確率することを目指した。そ結果、3×FLAG融合蛋白質が局在性の観察に適していた。CwIF-3×FLAGは対数増殖初期の長くつながった細胞の分離点において、またCwIE-3×FLAGは対数増殖期の短い細胞の両極及び分離点において、一方CwIB-3×FLAGは細胞表層のほぼ均一に分布していた。一方膜タンパク質成分を網羅的に解析するために、細胞をフレンチプレスで破壊し、洗浄し、膜画分を調整した。さらに各種溶媒と超遠心を繰返し、分画した。Secタンパク質群やその他の可溶性タンパク質をマーカーとして3画分が膜画分であることを明らかにした。次に1次元および2次元ゲル電気泳動によって膜タンパク質を分離し、MALDI-TOFMSによって同定した。現在のところ500種以上を同定するごとができた。その内の約200種類が膜貫通ドメインを持って居り、50%以上ものタンパク質が膜貫通ドメインを持っていないことが分かった。一方薬剤耐性におげる膜結合蛋白質の機能を解析する目的で、MDR候補遺伝子の主要機能を検討した。その結果Northern解析により55個のmdr候補遺伝子のオペロン構成と発現レベルを明らかにした。解析の結果、6個のmdrが上流の転写因子をコードする遺伝子とオペロンを形成していることが明らかになったが、これらのオペロンの発現は各々の転写因子により負の制御を受けていることがわかった。yvdSR, yvaFED, ycnCB, ywoAについては新たに薬剤基質が同定できた。
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