研究概要 |
枯草菌細胞表層蛋白質の局在部位観察法を確立し、6種類の蛋白について観察した。その結果、2つの細胞壁溶解酵素(CwlE, CwlF)及びプロテアーゼWprA、機能未知蛋白YqgAが分裂面に局在し、2つの細胞壁溶解酵素(CwlB, CwlG)は細胞表層にほぼ均一に分布することが解った。またYvrGH二成分制御系が細胞表層蛋白であるWapA, WprAの発現を正に、LytABCを負に制御していること、並びにYvrG蛋白がwprA及びlytAのプロモーター領域に特異的に結合することを確認した。さらにSigDに関するアレー解析により、新たに2個のオペロンと、7個の遺伝子がSigD依存であることを明らかにした。 枯草菌膜タンパク質プロテオームをMALDI-TOF MSおよびMS/MSを用いて解析するために、高効率、ハイスループットな方法として、PVDF膜を利用した方法を開発した。枯草菌細胞膜からステップワイズにタンパク質を抽出し、一次元および二次元の電気泳動で展開し、約630種類のタンパク質を同定した、80%のタンパク質が膜貫通ドメインまたは膜にアンカーできる配列を持っていたが、20%はSecAのように水溶性と判定れるタンパク質であることを明らかにした。 ABCファミリーに属する薬剤排出タンパク質の基質特異性を決定するため,約50種の薬剤についてスクリーニングを行った結果,ファミリー7に属するYtsCDがバシトラシン特異的トランスポーターであること又その上流に存在する二成分制御系のセンサーキナーゼYtsBが培地中のバシトラシンをシグナルとして受け取りレスポンスレギュレーターYtsAを活性化しYtsCDオペロンの発現を正に制御していることを見出した。またABCトランスポーターのファミリー3に属するExpZがvirginiamaycin Mの特異的トランスポーターであることを明らかにした。
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