研究課題
特定領域研究(C)
様々な細胞機能を実現している遺伝子ネットワークを明らかにする方法の一つに、細胞内で起きる蛋白質間相互作用の全容解明がある。本研究は、複数の解析法を利用して、枯草菌における蛋白質間相互作用の全容解明を目的とする。複数の方法としては、(1)細胞より直接蛋白質複合体を単離し、その構成成分を同定することにより相互作用を明らかにする方法、(2)酵母2ハイブリッド系による解析、(3)遺伝的手法による解析、(4)細胞生物学的手法による解析などがある。(1)の方法では、実際にSmc複合体の分離に成功し、その構成成分の一つもMALDI-TOF質量分析計で同定した。この他にも、ゲノム複製・分配に関与する蛋白質を中心に、数種の蛋白質複合体を同様の方法で分離した。(小笠原、笠原、小林担当)(2)の解析では、枯草菌ゲノムライブラリーの構築に成功し、12個のベイト蛋白質との相互作用をこのライブラリーを用いてスクリーニングした結果、数多くの陽性クローンを得た。現在、それらのクローンについて特異性試験を行い、その相互作用を確認中である。(吉川担当)また、複製開始蛋白質間の相互作用を個別に調べ、それらの間の蛋白質相互作用を明らかにした。(守家担当)(3)の方法では、高温感受性胞子形成欠損変異(rpoD21)およびそのサプレッサー変異(rpoB2)を解析し、胞子形成開始期およびコンピテンス誘導系に関与するシグマ因子とRNAポリメラーゼのコア酵素との間の相互作用を解析した。(河村担当)(4)については、2種のGFPの蛍光エネルギー移動を利用した方法が考えられ、その前段階としてゲノム分配に関与する蛋白質とGFPとの融合株を作製し、その観察条件等を検討した。現在、色変異体であるCFPとYFPを構築中である。(守家担当)
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