蛋白質-DNA相互作用情報の系統的解析

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12206008
• 研究種目: 特定領域研究(C)
• 研究機関: 九州大学
• 研究代表者: 久原 哲 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (00153320)
• 研究分担者: 中野 幸二 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (10180324) ; 田代 康介 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (00192170)
• キーワード: マイクロアレイ / 転写因子 / 発現制御

研究概要

・出芽酵母全遺伝子のプロモーター領域DNA収集ついては、全遺伝子領域を網羅したinter-genic領域プライマー(約6,500セット)を用いて、PCR増幅を終了し、酵母を利用したクローニングシステムによりクローン化を進めている。本年度内に8割の領域について終了する。
・転写に関係すると考えられている約700の遺伝子について、現在保有しているORFクローンを利用して、His-tag、Flag-tagを導入した発現プラスミドを大腸菌及び酵母をベースとして作製している。今後、DNA結合活性を保持した状態での精製法などの確立を行う。
・水溶液系での蛋白質の結合の測定系として、結合を電気化学的なシグナルとしてセンサ素子の開発に行ってきた。蛋白質、およびDNAいずれも電気化学的には不活性なので、この目的には、測定系に酸化還元反応の要素を組み込むことが必要になる。そこでDNA修飾電極の拡張として酸化還元活性層との積層構造化について検討した。その結果、まず、フェロセン修飾電極にDNA(一本鎖)を固定化すると酸化還元活性が50%程度に抑制され、さらに、相補鎖とのハイブリダイゼーションによりさらなる活性の低下(フェロセン単独の場合の10%程度)が生じること、また、抗DNA抗体の結合実験から、DNA結合性蛋白質に対しても電極応答を示すことを確認した。この結果は、本系がリアルタイムでのハイブリダイゼーション及び、蛋白質の結合反応を検出することが可能であることを示している。
・次年度以降、全プロモーター領域を集積したチップの開発を行い、電気化学的測定法と組み合わせて、DNA-蛋白質結合の網羅的なデータ収集を試みる。

研究成果

• [文献書誌] Akutu,T., et. al.: "Algorithms for identifying Boolean networks andrelated bilogical networks based on matrix multiplication and function"Proc.of Fourth Annual Int.Conference on Comp.Molecular Biology. (in press). 8-14 (2000)
• [文献書誌] Nakano,K., et. al.: "DNA biosenser : Immunosensor Application for Anti-DNA Antiboy"American Chemical Society Symp.Series. (in press). (2001)
• [文献書誌] Ihara,T., et. al.: "Electrochmical Gene Sensor"American Chemical Society Symp.Series. (in press). (2001)
• [文献書誌] 中野幸二: "DNAバイオセンサー"ぶんせき. 6. 125-133 (2001)
• [文献書誌] Akutsu,T., et. al.: "Inferring qualitative relations in genetic networks and metabolic pathways"Bioinformatics. 168. 723-734 (2000)
• [文献書誌] Akutsu,T., et. al.: "Algorithms for identifying Boolean networks and related bilogical networks based on matrix multiplication and fingerprint function"J.Computational Biology. 7. 331-343 (2000)
• [文献書誌] 久原哲: "ゲノム機能(松原,榊編集)発現プロファイルとトランスクリプトーム"中山書店. 25-39 (2000)
• [文献書誌] Nakano,K.: "Molecular recognition of DNA and Biosensor Applications, in A.G.Yolkov Ed, "Liquid Interfaces in Chemical, Biological and Pharmaceutical Applictions""Marceol Dekker. 515-532 (2001)